内容説明
さくらは古代人にとってたいせつな農事暦であり、その開花は一年の吉凶を予兆する聖なる樹でもあった。その桜樹信仰という古代人たちの素朴な祈りは、「さくら前線」の報をこころまちにする現代の春に生きている。古来、文学のテーマとして、日本人は桜をどのように歌い、描いて来たのか。文学作品をたどり、各地の桜を紹介する新しい視点の文芸論。
目次
1 さくら讃歌 プロローグ
2 古代のさくら―飛鳥・奈良時代
3 王朝絵巻のさくら―平安時代1
4 薄明に咲く―平安時代2
5 さくら美の完成者たち―鎌倉時代
6 さくらのドラマツルギー―室町時代
7 聖から俗へ―桃山時代
8 新しいさくら文化の開花―江戸時代
9 文明開化とさくら―明治時代
10 さくらの歌びとたち―大正時代
11 昭和文学の桜譜―昭和時代1
12 現代文学に咲く―昭和時代2