目次
常世の国
焼跡の友情
俳句「颱風来」
三姓穴
塋域の記
石と民家
“国民”の誕生
郷校散策
士大夫の変化
北から南への旅
父老とカプチャン
神仙島
モンゴル帝国の馬
森から草原へ
お札の顔
朝天里の諸霊
不滅の風韻
思想の惨禍
車のはなし
故郷
虎なき里
憑きもの話
近くて遠い
シャーマン
泉靖一氏のこと
赤身露体
『延喜式』のふしぎ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kaz
37
耽羅(たんら)ってどこなんだろ?というのが読む前の印象であったが、済州島の別称であった。考えてみれば朝鮮は、中国、日本、渤海に囲まれていて、歴史上、理不尽な目にあうことも多かった。今でも北緯38度線で別の国に分断されているのは、まことに気の毒という他ない。済州島は輪をかけて歴史の洗礼を浴びてきた複雑な土地であるが、現代ではリゾート地としての地位を確立している。同地にはかつて海女が活躍して、その技能を日本の海女にも伝授していた。国家間は冷え切った関係だが、庶民同士は仲良くしたいものである。2019/04/19
わたお
23
耽羅って済州島のことか。くらいの知識でしたが以前読んだ、韓のくに紀行が面白かったので読んでみました。耽羅のことよりも、李氏朝鮮、儒教のことが多く書かれて、それが分かりやすくて面白かった。2020/02/01
aponchan
18
司馬遼太郎氏作品乱読中のうちの一冊。多分に漏れず、面白かった。済州島が加羅・新羅・高句麗と並んで耽羅と呼ばれていたこと自体を知らなかったし、朝鮮半島との距離感から歴史的にどのような位置関係にあったかも知らなかったので、ためになった。九州地方の方々と顔が似ているとか、蜜柑の話とか、日本との地理的・歴史的つながりが感じられた。中央と距離が遠いのは、どの世の中も下に見られてしまうものなのだというよく分からない共通項も知れてよかった。引き続き、司馬氏作品を乱読していきたいと思う。2020/05/18
伊田林 浮刄
16
★★☆☆☆「ナショナリズムはどの民族にもあって(略)わるいものではない。ただ浅はかなナショナリズムというのは老人の場合、一種の呆けである。壮年の場合は自己についての自信のなさかもしれぬ。若者の場合は、単に無知のあらわれでしかない。日本にもこの種の浅はかさはいつの時代にも存在するが、韓国にもある(本書277頁)」刊行から30年以上たってもドンピシャに当てはまる著者の客観的で辛辣で的確なこの指摘よ。今も両国には無知で自信がなくて呆けてる浅はかな人たちが大勢いらっしゃる2019/06/11
がんぞ
10
耽羅=済州島、古名・百済(語源不明だが「奈良」と関連あるのではとも)は古来支那の六朝文化に憧憬したが日本とも関係が深く、文化交流ばかりか軍事も協調したが白村江で大敗して百済が滅亡してのちは帰化人はおもに関東地方に定住し東男となったというのが著者の仮説。三別抄の最後の拠点もあり。蒙古支配のあいだ放牧されていたモンゴル馬が純粋種で現存。外国人との接触を極度に嫌う、李氏朝鮮の儒教体制を好ましいものとは見ないが、プライドで生きる民族を併合しようとしたは大きな間違いだったという。条約後も償いしようとまでは言わないが2013/08/31