内容説明
朝日新聞記者が訪ね歩く名画をめぐる物語。
目次
町の踊り・田舎の踊り―ルノワール
マルディ・グラ―セザンヌ
サント・ビクトワール山―セザンヌ
アルルの寝室―ゴッホ
オーベールの教会―ゴッホ
私自身、肖像=風景―ルソー
ムーラン・ルージュで―ロートレック
窓―マチス
コタン小路―ユトリロ
赤いエッフェル塔―ドローネー
黒いネクタイの女―モディリアーニ
モンパルナスのキキ―キスリング
シモンヌ・ローランサンの肖像―マリー・ローランサン
老いたる王―ルオー
余暇―ルジェ
コメルス・サンタンドレ小路―バルテュス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
21
読めば読むほど、ますます読んでいる。 だけど、いつまでも想像力を刺激してやまない名画と、彫りの深い画家達の肖像は、決して負け惜しみではなく、何度観ても観飽きることがない。 たぶん、いつかまた読んでしまうだろう。2016/03/22
まっと
14
朝日新聞日曜版連載「世界名画の旅」の第2集。「モンパルナスのキキ」で紹介されるキキ(本名アリス・ブラン)の話、「黒いネクタイの女」を描いた頃のモディリアーニ自身の生活ぶりや妻ジャンヌとの軌跡、松方幸次郎とゴッホ「アルルの寝室」の出会い等、興味深い話の連続。ルノワールの「町の踊り」「田舎の踊り」「ブージバルの踊り」に纏わる話も「へぇ」。一つ一つの作品から派生する取材記や逸話、各章でのコラムも楽しい。休日の午後、ゆったりと読むにはまさにうってつけのシリーズだと思う。フランス編はここまで、次はイタリア。楽しみ。2022/07/24
NY
10
昨年末に読んだ「イタリア編」に比べ、ある画家や作品をきっかけに、今を生きる人々を掘り下げた記事が多く、違った味わいがある(親子三世代の道化師一家やパリの地下鉄駅での人生相談、モンマルトルの庶民、ステンドグラス職人など)。連載から約35年経っても、内容も写真もまったく色褪せることがない。まさに名企画。個別の作家はみな良かったが強いていえばピエロを描いたセザンヌの「マルディ・グラ」か。伸びた足で強調される凛々しい構図。この絵のことは知らなかった。あとはルオー。厚塗り=決して満足しなかったからと知る。2020/04/18
AKO
4
ヴァラドンとユトリロという二人の画家を初めて知った。本能に忠実に生き男性遍歴を重ねるヴァラドンは多くの画家と浮名を流す。彼女の息子であるユトリロとの関係性。そんな母を持つ複雑な環境によってユトリロは十代前半にして重度のアルコール依存症で苦しむ。アルコール依存症の療養のために絵を描いているときは手の震えは起きなかったという。そのことが画家であるユトリロの誕生原因であることは何とも辛い。ヴァラドンは母親として毒が付く親だったかもしれないけど、彼は母のことを愛し、画家の先輩として尊敬しているように感じた――。2022/07/14