内容説明
イベリア半島を横切って大航海時代の原点をみる最新刊。
目次
マドリード周辺(悲惨のカスティーリャ;劇的な酔っぱらい;はるかな「征服」;超心理学;ヨーロッパの異端児;紙とスペイン;トレドの街灯の下;エル・エスコリアル宮)
ポルトガル・人と海(リスボン特急;ポルトガル人の顔;国境の駅;リスボンの駅;リスボン第一夜;テージョ川の公女;大航海時代序曲;モラエスなど;ファドの店で;サグレス岬へ;サグレスの小石)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
38
バスクから移動して、マドリード、トレド、リスボン、サグレスを訪ねる旅。バスク編が高テンションだった司馬先生ゆえか、イベリア半島編はやや抑え気味、が、最終ポルトガルの地に至って再度の盛り上がり。中世800年に渡ってイスラム勢力に支配されていた半島だけに、イスラムの高い文明の残滓がいたる所に見受けられ、エンリケ航海王子による大航海時代もイスラムの科学技術によるところが大だったという。「私どもの旅は、(須田画伯が拾った)小石がサグレス岬のせまい地面に落ちたときにおわった。」何とも素敵なペンの置き方が印象的。2020/07/13
AICHAN
33
図書館本。スペインがかつてイスラム教徒に征服されていたことを初めて知った。首都「マドリード」が彼らの言葉を元にしていることも。日本の古代の首都・奈良(ナラ)が韓国語であることと似ていると思った。そのスペインとポルトガルの区別ができていなかった。魅力も感じていなかったからだ。しかしこの本を読んで、ポルトガルになら行ってみたいと思った。ポルトガル人はシャイだという。対人恐怖症の私はシャイな人とでないと会話ができないのだ。2016/10/19
棕櫚木庵
24
前半は,スペイン紀行で,主にマドリッドとトレド.後半はポルトガル.スペインとポルトガルの対比が印象的.様々な知見・随想が語られ,それにいろいろな連想を誘われるのはIと同じ.たとえば,茶道の袱紗捌きは,切支丹の司祭がミサのとき聖杯をぬぐう所作にゆらいする(林屋永吉説)なんて,突拍子もないようだけど,でも,そうかもしれない.茶道には朝鮮文化の影響もあると言われるし,当時の国際性を思う.→2021/09/05
Kaz
23
旅はバスクからスペイン、ポルトガルへ入ります。天正年間にイエズス会が派遣した日本人の少年使節団がスペイン国王に謁見したくだりを読むと、当時の日本のプレゼンスがうかがい知れる。確かにその頃は、東南アジア各地に日本人町があったように、日本人もそこそこ世界に進出していた。これだけで語れない部分はもちろんあるけど、もともと日本人にはグローバル化に対応する資質はあるって言えるだろうね。2018/03/03
伊田林 浮刄
22
★★★☆☆「私は、こどものころからアジアが好きだった。そういう私でさえヨーロッパへの愛情といとおしみがつよい。私ども非ヨーロッパ人は、平衡をもった尊敬をこめて、この大陸に興り、いま沸騰期を過ぎつつある文明を大切にあつかわねばならないが、画伯にもその気分がつよいのであろう。ともかくも、画伯は小石を捨てた。私どもの旅は、小石がサグレス岬のせまい地面に落ちたときにおわった。」このシリーズ国内編が好きなんだけど最後のこの一文の美しさに★一個追加2017/02/05