内容説明
横浜市立大の法医学教室。解剖台に横たえられた物言わぬ死体が訴える、事件の背後に隠された真相をもとめて、メスを握る法医の眼が光る。悲しみにくれる遺族に残酷な追い打ちをかけねばらならぬこともある。温かい余韻を残して去ってゆく人もいる。…監察医30年の著者が、さまざまなエピソードを通じて、生と死の哀歓をヒューマンなタッチで綴った、評判のドキュメンタリー・エッセイ。
目次
空白の本能
遺された眼
中国の少年
演歌師の恋
悲しいうそ
刑事と猫と老人と
一口に死後何時間とおっしゃるが
青い毒薬
ゲイセスバーグの秋
老婦人の死
人間の悲しい話〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ayumi Katayama
8
久しぶりに『法医学教室の午後』を引っ張り出したら続けて『続 法医学教室の午後』までめくってしまう。前作に続いて珠玉のエピソード満載である。一番好きなものは『テールライトの思い出』。このような思い出を持てるのも日頃の行いなのだろうな。私もそうありたいもの。2017/12/29
boutiquekouichi
1
法医学の専門的な話ではなく、現場で繰り広げられる人間ドラマが中心のエッセイ。自殺し損なってばかりの自殺志願者の「悲劇は悲劇」、怪僧ラスプーチンの「怪僧」っぷりの謎ときが興味深い「青い毒薬」、欧米と日本の死生観の違いからすれば「珍しい」母の行動が人間の儚さを浮き彫りにする「ゲイゼスバーグの秋」、あまりのやるせなさに感情移入せざるをえない「昆虫を愛した少年」などなど。。もの言わぬ死体となっても、なお生者を呆れさせ、驚かせ、感動させる人々の一風変わった青春グラフィティ。2012/04/22
うめ
0
時代を節々に感じるけれど、それが逆にリアル。2012/10/28
のんき
0
S61.12.20第一刷発行