内容説明
イザヤ・ベンダサン著『日本人とユダヤ人』は、日本人論として超ベストセラーとなった。しかし、その論拠としているユダヤ学・聖書学・古典語学さらに英語についての知識は、いかに間違いだらけで、非常識なものか―。本書は、ベンダサンこと山本七平氏の世紀の詭弁師ぶりを、「ユダヤ人は全員一致の決議は無効」などというデタラメを始め、細かく例証をあげながら徹底的に論破した快著である。
目次
１ イザヤ・ベンダサン著『日本人とユダヤ人』のまちがい
２ 山本ベンダサン氏の教養と論理―Ｓ兄への手紙（第１信 「すべてわれらの義は涜れた布切れの如し」；第２信 『日本人とユダヤ人』と天皇制；第３信 「日本教」とヤスクニ；第４信 『日本人の人生観』と元号）
３ 聖書の非常識―または山本七平式「聖書の常識」
４山本七平式英文和（ゴ）訳の方法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
51
2014.01.28（01/28）（再読）浅見定雄著。 01/27 （解説＝國弘正雄）非礼を先に詫びます。 大阪府立大学教授、安良城盛昭氏。 日本中・近世史家。 太閤検地。 文章は骨太で豪快。 浅見氏－古代ユダヤ思想の本格的研究。 東京神学大学博士課程修了、Ｓ06生まれ、戦中焼跡派、靖国神社法案、三日間断食抗議。 イザヤ・ペンダサン、神戸生まれ、エストニア系アメリカ国籍ユダヤ人を自称。 アメリカ人を自称する英語感覚の面妖さ、容赦なく的確に指摘。 2014/01/28
i-miya
8
ひとつのちょっとした例から直ちに「日本人は、・・・、ユダヤ人は、・・・」と速断するについて、「特殊により、一般を推定するエピソード主義」と断ずる。 故ハロルド・アイザクス氏（ＭＩＴ教授）。 （１）日本人、ユダヤ人の概念規定のあいまいさ、（２）対象の客観的属性無視、（３）サンプリングの不完全さ、（４）比較研究不足、（５）歴史的変化に対する無関心さ。 日高六郎氏、評語。
ねぎとろ
3
読んでいて、これは日本版の『知の欺瞞』なのだという感想を持つ。思わせぶりで曖昧な文体、知識をひけらかすが（専門家からすると）きわめて表層的、特殊で一般を語る擬似論理、山本七平の特徴と問題点をかなり徹底的に暴いている。知識がだめ、論理がだめ、知的誠実さがないとくれば、もう山本七平なんぞ読む必要がないと思わせるに十分な良書であった。 いまからでも『知の欺瞞』とともに、高校か大学のメディアリテラシー教育のテキストとして取り扱うべき本であろう。 しかし、いまだに山本七平をありがたがる人がいるのだから、やれやれ。2015/03/08
ひろ
3
雨後の筍本だが的確に「日本人とユダヤ人」（山本七平）の問題点と論理的矛盾、引用誤り、誤訳を説明している。特に浅見が本書で痛烈に批判する12章については「人種・民族差別は動物的本能に由来する→だからあっていい」との山本の論理展開に「頭大丈夫か……」と感じたので、すっきりでした。2013/10/20
tekesuta
3
この本が品切れで「日本人とユダヤ人」が未だに出版されてる、ということに愕然としてしまう。売れる本がいい本とは限らない実例だな。本書の言葉は今の時代空恐ろしい「昔もこういう種類のデタラメ「文化人」の協力でファシズムがやってきたし、こんど来るときも同じだろうということである」 2013/02/02
