朝日文庫<br> 喜作新道―ある北アルプス哀史

朝日文庫
喜作新道―ある北アルプス哀史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 424p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022603821
  • NDC分類 916
  • Cコード C0139

内容説明

北アルプスの〈表銀座〉、大天井岳から槍ヶ岳へぬける喜作新道。大正時代、このけわしい尾根道を独力で切り拓いた牧の喜作は、北アルプスに鳴りひびいた名鉄砲打ちであった。その喜作が、ある日、猟にでかけた雪の山で謎の死をとげる。事故か、謀殺か?著者一流の克明な取材と、サスペンスにみちた推理構成で、この超人的山男の生涯を追う。

目次

欲の道・喜作新道
牧の喜作
工女と学生
上高地の常さと牧の喜作
槍ケ岳に降りた天女
北鎌尾根の英雄たち
棒小屋沢の謎
恐怖の野陣場小屋
無念の墓
北の衆の縄張りにて
追跡・もう一人の人
牧の悲歌
猟犬ペス東鎌に消ゆ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

goro@80.7

43
喜作新道を作った猟師の喜作ってこんな人だったんだね。折角道も作り、殺生小屋も建ててこれからって言う時に雪崩にあって死んでしまった。が、その死は本当に雪崩だったのか。山本氏は結論を出しているけど、それでも疑惑は残るかな。そして副題として「ある北アルプス哀史」とあるように当時の山麓の村々での暮らしぶりも厳しいものだったのだなと哀しくなった。来年は大天井岳から槍へ喜作新道をあるいてみたいな。先人を想い噛み締めて歩けそうです。読めて良かった。2020/11/28

toshio

8
これから読みます。週刊少年マガジンに発見。菊池俊郎著【北アルプスこの百年】で安曇野市旧穂高町の牧地区に興味を持ち出していた矢先です。1970年前後の少年マガジンは、今にない素晴らしい内容です。世界のニュースや旅行記など、子供向けに丁寧に説明されており、新田次郎【北極光(アラスカ物語)】、【剛力伝】やジョージ、オーウェルの【動物農場】など、名著を漫画で子供に紹介しています。常念連峰は何度となく歩いていますが、喜作新道利用したことはありませんが、殺生小屋テン場にはお世話になりました。山好きの方、是非参考に。2016/01/24

CTC

7
86年朝日文庫、あとがきの日付が71年のものだから、単行本はその頃だろう。元は62年頃の雑誌連載という。著者の代表作は『あゝ野麦峠』。本書の主人公=牧の喜作こと小林喜作は1875年生まれ。本当に北アルプス黎明期を描く作品だ。“山の主”とまで云われた超人的な喜作の死は、永らく謀殺が半ば信じられてきた。その謎を関係者への丁寧な聞き取りから解いていく。例えば『山と渓谷』の第5号(1929年刊)でも喜作の死の謎が取り沙汰されていた事が記されていて、その存在の大きさと日本アルピニスト前史といった趣である。2020/09/18

Monto PASO

5
黒部の山賊と並ぶ北アルプスを舞台にした傑作ノンフィクション。表銀座縦走コースを歩いた人、これから歩く人には是非ともお勧めしたい一冊。凄腕の猟師であり優れた先見の明を持つビジネスマン。世捨て人や哲学者然とした孤高の岳人達より、どこまでも人間臭く、愛嬌と貪欲と野性と知性を併せ持つリアリストの喜作さんはとても魅力的な人物に感じました。もっと知られてもいい人物。もっと読まれてもいい一冊だと思います。2019/04/26

ひこまる

5
「ああ野麦峠」の作者の渾身の作。大正時代の北アルプスの超人山男小林喜作の足跡を通して当時の山の民の生活をあますところなく描いたもの。喜作の超人ぶりを楽しむ読み物としても、その死を巡るミステリーものとしても、登山黎明史としても、山の民の生活の過酷さを知る民俗学としても、そして北アルプスの自然の美しさを描く文学作品としても全てが第一級のレベルだと思う。学生時代から今に至るまで何度も読み返していたのに出先で紛失してしまったんだよなorz 現代の登山事情を増補した形で復刊して下さらないでしょうか?朝日新聞出版さま2012/09/17

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