内容説明
八つの珠に導かれ、正義の剣をかざしてひた走る八犬士たち。波瀾万丈の伝奇ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カムイ
47
南総里見八犬伝はちゃんと読んでいなかったのでまずは短めな作品をと山田風太郎の作品の中ではエロチックは場面は少ないがそれもそのはず新聞連載だったのだから、場面展開早いのが気になっていたのですが読者を飽きさせない工夫もあり読みやすかった下巻も楽しめそうだ2024/08/03
タツ フカガワ
37
本書は「虚の世界」で山風流『南総里見八犬伝』を、「実の世界」では曲亭馬琴と葛飾北斎が作品について語る、いわば二人の作品論、作家像を描いたような内容。これが交互に配されて、一冊で二度おいしい贅沢な構成です。なかで「ある史実があって、その根を変えずに葉を変える。根を変えないからこそ稗史―伝奇小説となる。(中略)史実に従ってうそをつく。私は戯作者としてこの約束をまもっているつもりだ」と馬琴が語るところがあるけれど、これはまさに山風先生の声でしょう。「八犬伝」では七犬士が明らかになったところで下巻へ。2021/10/22
みかん
14
八犬伝は子どもの頃に読んだジュニア版からの知識しかなかったが、今回、山田風太郎版の小説が出ていると知り、入手して読んでみた。八犬士の活躍の《虚》の世界と、馬琴と北斎の交流の《実》の世界が交互に描かれるが、それが相互作用を及ぼしてとても楽しい。今まであまり知らなかった北斎や馬琴、その生涯に興味が出てきたのも収穫だ。(感想は下巻にて。)2015/09/24
猫丸
13
猛スピードで八犬伝を語り直すのと並行して、馬琴の鬱屈、北斎の飄逸をえがく試み。八犬伝のストーリーの骨格をうまくまとめてくれているので、よい復習になる。しかしこれが八犬伝初読の人は果たして筋をフォローできるものなのか?馬琴が物語を綴る目的は、世に儒教道徳を復権することである。正しき行いが報われぬことはない。悪は必ず誅される。基本線は揺るがないが、微妙な逸脱を馬琴自身は意識していないらしい。妖艶なる奸女船虫。孫をもつ尼妙真は四十そこそこであり、熟女のカテゴリとしては若すぎるくらい。染み出すエロス。2019/09/21
名駿司
12
未読の本はないかと本棚の奥を探したら見付かったこの本。中を見たらかつてタイに住んでいた頃に買ったものと判明。てことは日本の倍の値段で買ったのに放置していたのか(笑) 感想は下巻の方に。2018/06/10