感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aster
44
狂ってると決め付けられた人間は至極真面目に振舞っても、気さくに振舞っても、気を引く為にそういう振りをしてるだけで実は狂ってるに違いないと思われてしまう。数十年前の本だが、今日の精神的な病気の人間に対する偏見は、より浅く、より無意識になってしまっていてむしろ今の方が改善の余地がないように思える。精神病院関連の告発本が今尚出ているところを見るとそう思わずにはいられない。2019/11/26
gtn
17
昭和45年2月、精神病院の実態を知るため、アルコール中毒患者と偽り入院する著者。3週間入院する計画が12日目に音を上げる。妻の助力で、退院という名の脱出に成功する。今はどうか知らないが、当時は刑務所より劣悪な環境であった。犯罪者より精神病者の方が下に見られていたためだろう。また、精神病院も商売なので、患者を商い物として家畜のように扱われた面もある。いや、少なくとも家畜は薬漬けにされたり、リンチで甚振られ、殺されたりしない。2019/05/01
ステビア
14
精神衛生法時代の入院医療で何が行われていたかを告発する。2017/03/11
Wisteria
10
あれ!?刑務所の話じゃないよねって何度も思った。アル中のフリして飛び込んだ精神病棟のチャレンジャーなルポ。患者が運営回してるくだりに笑っちゃイカンが笑った。今はどうなんでしょうねぇ。2018/05/23
AICHAN
9
このルポは約30年も昔に書かれたものだ。私が精神病棟にぶち込まれたのは一昨年。30年前でなくてよかったと思った。もっとも、一昨年でも私の入れられた病棟は外界との接触がほぼ不可能な環境だった。昔は病院が儲けるため、今は患者が脱走して世間に迷惑を及ぼしたり自殺したりするのを防ぐためという違いはあるが、精神病棟の異常なほどの隔離体制は今も昔もさほど変わっていない。「精神病とは何か」という定義が今なお不明確では、誰もが精神病棟に叩き込まれる怖れがある。精神病院の問題解決も重要だが「精神病」の解明も急がれる。2011/02/14