感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のりたま
3
角川ソフィア文庫に入ったのでこちらを通読して手放すことにし(上は紛失)、気兼ねなく風呂で読んだ。「羿は射を善くし、奡は舟を盪かす。倶に其の死を得ざるがごとく然り」の「不得其死然」を「たたみの上で死ねなかった」と訳すのには笑ってしまった。206頁の「さむい冬のさかな」はやはり誤字で、ソフィア文庫では「さなか」になっていた。2023/06/25
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)
0
怠けもあり通読が遅れてしまった。顔淵の死に嘗て無く、これからも無いであろう程に悲しむ孔子の姿が印象的で、吉川は下論は上論ほどの面白みに概ね欠けると述べていたが所々の輝きは(恐らく吉川も知っていた様に)尚素晴らしい。孔子が今までの自分の理想の中庸を無視してまでの慟哭や「必ずや狂狷乎」と評したように彼は人間としての主体性や感性を重んずる上で、悪を克服しようとするが故にその無視をしなかったのだと思うし、そういう態度はある種の葛藤無き「善良な市民」に対する侮蔑を含んでいるようにも思える。2021/05/26