内容説明
世界遺産ナスカの地上絵、空中都市マチュ・ピチュ、インカ帝国などで知られるアンデス文明。16世紀にスペイン人によって征服されるまで、ヨーロッパやアジアなど旧大陸とはまったく違う独自の文明が新大陸に広がっていた。1958年、東京大学の調査団はペルーに旅立ち、この文明の起源探究に挑み、以来、これを引き継いだ調査団を含めて、多くの成果をあげてきた。紀元前2500年、土器が作られるよりも前に築かれた神殿。権力者がまだ現れない時代に神殿を建設し更新したこと。神殿建築で技術が広まり経済が発展、社会に格差が生じるようになったこと―これらの成果はいま、アンデス考古学のみならず、従来の文明観を大きく揺さぶる。半世紀に及ぶ学術調査で明かされる文明形成の過程。
目次
第1章 アンデス文明形成期研究の五〇年(一九五八年の第一次調査;先土器時代の神殿を発見 ほか)
第2章 大神殿の出現と変容するアンデス社会(クントゥル・ワシ遺跡の調査;重なり合う三つの神殿 ほか)
第3章 形成期社会における権力の生成(「パコパンパの貴婦人」の墓;文明形成と権力の発生 ほか)
座談 文明との対話(新旧大陸で文明のあゆみに違いがあった;神殿を造る場所とは? ほか)
著者等紹介
大貫良夫[オオヌキヨシオ]
1937年東京生まれ。野外民族博物館リトルワールド館長。東京大学名誉教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専攻はアンデス考古学。60年のコトシュ遺跡発掘以来、ラ・パンパ、ワカロマ、セロ・ブランコ、クントゥル・ワシ遺跡の発掘を通してアンデス文明形成期の研究を行う
加藤泰建[カトウヤスタケ]
1946年東京生まれ。埼玉大学理事・副学長。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。専攻はアンデス考古学、文化人類学。75年より東京大学アンデス調査団のメンバーとしてラ・パンパ、ワカロマ、セロ・ブランコ、クントゥル・ワシ遺跡を発掘。98年より埼玉大学クントゥル・ワシ調査プロジェクトのリーダーとして発掘調査、遺跡の保存修復、遺跡データベース作成などを行う
関雄二[セキユウジ]
1956年東京生まれ。国立民族学博物館研究戦略センター教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。専攻はアンデス考古学、文化人類学。79年より東京大学アンデス調査団のメンバーとしてペルー北高地の祭祀遺跡を中心に発掘調査を行ってきたほか、文化遺産の保全と開発の問題にも取り組んでいる。2008年濱田青陵賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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