朝日選書
もうひとつの日露戦争―新発見・バルチック艦隊提督の手紙から

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  • サイズ B6判/ページ数 317p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022599513
  • NDC分類 210.67
  • Cコード C0320

内容説明

1904年に火ぶたを切った日露戦争。日本海海戦、ロシアでは「ツシマ海戦」と呼ばれる戦いで、通称「バルチック艦隊」は撃沈した。開戦から100年後、艦隊を率いた司令長官ロジェストヴェンスキーが、妻と娘に宛てたプライベートな手紙が発見された。200日を超える大艦隊の航海中、故障や熱帯の地での長期足止め、燃料補給の困難など様々なトラブルに見舞われ、乗組員たちの士気が著しく低下。革命迫る本国との通信が途絶える中、辛抱強く艦隊を支え続けた姿からは、これまで必ずしも芳しい評価をされてこなかったロジェストヴェンスキーの苦悩や諦め、責任あるリーダーとしての一面も見えてくる。そのほか、情報将校の秘密文書など、ロシア側の新史料を豊富に用いて描き出す、新たな日露戦争像。

目次

1 日露戦争への道(大津事件の影響;列強進出の中での日ロ外交;ロシア極東政策の誤り)
2 バルチック艦隊の悲劇(「アジア制覇」という野心;ロジェストヴェンスキー提督の私信;講和への道のり)
3 日露戦争後からロシア革命まで(新たな地政学的領域)

著者等紹介

サルキソフ,コンスタンチン・O.[サルキソフ,コンスタンチンO.][Саркисов,Константин]
1942年、エレバン市(旧ソ連・アルメニア共和国首都)生まれ。1966年、レニングラード大学(現サンクトペテルブルグ大学)東洋学部日本学科卒業。ソ連(現ロシア)科学アカデミー東洋学研究所で研究生活へ。1975年、論文「日本と国連」で博士(Ph.D.)号取得。全ロシア日本研究会初代会長。ソ連の対日政策について多くの論文を書き、党中央委員会や外務省に提出。1991年、ゴルバチョフ大統領の訪日時、随行団の一員として参加。法政大学から客員教授として招聘された。現在、山梨学院大学大学院教授、法政大学兼任教授

鈴木康雄[スズキヤスオ]
1939年、東京生まれ。1964年東京外国語大学ロシヤ科卒業。読売新聞社に入社、モスクワ、バンコク、ワシントン特派員を歴任。1999年、自然医科大学教授、2005年、富山国際大学教授。現在、同大学国際交流センター長・特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sibasiba

12
通称「バルチック艦隊」を率いた司令長官の私信を中心とした「ツシマ海戦」に至る経緯が苦難の連続で、二級線どころではない寄せ集め艦隊を半年もの長期航海を経ての戦闘だったという負けるべくして負けたとしか言い様がない。こんな状況下で懸命に任務を果たした報いが無能の烙印とは遣り切れないものだ。そもそも戦争回避の可能性が意外に高かったがロシアが戦争推進派に流されたのは日本と戦ったらまず勝利は確実と誰もが思い込んでいたからのようだ。日露戦争後意外にも両国は友好的に成るのだが革命がすべてを変えてしまった。2015/05/09

駄目男

8
ロジェストウェンスキー中将の手紙が残っていると知ったのは最近のことで、本書は一応「バルチック艦隊提督の手紙」と銘打っているが提督の手紙が出て来るのは凡そ100ページ辺りから。それまでは大津事件の経緯に費やされている。妻に送られた手紙は合計30通、常に現在地など知らせているが、もはや生還の目途も立たないような書きぶりで、ただ、与えられた任務を遂行し終焉に向かって進んでいるようで、諦観ともなげやりとも取れる心境も分かるような気もする。寄せ集めの大艦隊で日本の連合艦隊と闘う無謀さ。一概に彼を責められない。 2019/05/20

Tomoichi

5
ロシア人研究者による日露戦争研究本。新資料であるロジェストウェンスキー提督の私信は大変興味深い。公平な目で書かれているので大変面白い!!!2013/06/04

Meistersinger

3
「かわいそうな提督」 やはり兵士の福利厚生もふくめた兵站補給は重要だなぁ。ドッガーバンク事件だが、北海に日本の水雷艇が派遣されているというのは、当時の日本海軍の能力からしてあり得ることだったのだろうか?2015/10/11

Peshka(a.k.a. Komet)

3
日本海海戦の「バルチック艦隊」指揮官ロジェストヴェンスキー提督は、敗将ということもあって東郷元帥とは対照的に低く評価されがち。 しかし、この本を読むと日本海海戦の勝敗は、指揮官の有能無能や作戦によって決した訳ではなく、様々な要因が絡まり合って「勝つべくして勝ち、負けるべくして負けた」戦いだったんだろうな、と思った。2011/12/01

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