内容説明
黒船の耳をつんざくような砲声から2年、天地を動転させた大地震と大津波の襲来は、国土を焦土と化した。人々の恐怖をあおり、この世が根底からひっくり返る―、そこに安政5年(1858)、コレラが襲いかかった。罹ったら最後、3日で死ぬといわれるコレラには、旧来の仏教や氏神では太刀打ちできない、より強い霊力のある神仏や流行神にすがるしかない。コレラを操る悪狐の天敵、御神犬やお札を求め、遠く京から神社を勧請して、災厄に立ち向かう。あらゆる手を尽くしても衰えないコレラに追い詰められれば、一転無礼講の祝祭に走る。東海地方の村々に残る名主の記録から、村人がどのようにコレラと闘ったのかを再現してみると、おかしくも、またたくましい幕末庶民の姿が見えてくる。
目次
1 名主の見た幕末の「不安」―伊豆国桑原村名主の「年代記」から(幕末社会へのアプローチ;災厄情報と世直し ほか)
2 コレラの恐怖と妄想―東駿河大宮町(大宮町のコレラ;アメリカ狐からイギリス疫兎へ―死の恐怖と妄想 ほか)
3 京都・吉田神社を勧請する―東駿河下香貫村・深良村(代参による勧請―下香貫村;飛脚便による勧請―深良村 ほか)
4 アメリカ狐と三峯山御犬拝借(御宿村の御神犬拝借;開港下、伊豆下田の狐狩 ほか)
5 江戸のコレラ騒動―禦ぎから祝祭へ(安政五年七月、コレラ江戸を襲う;コレラの大流行 ほか)
著者等紹介
高橋敏[タカハシサトシ]
1940年、静岡県生まれ。東京教育大学大学院修士課程修了。国立歴史民俗博物館名誉教授。文学博士。日本近世・近代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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