内容説明
ネオ・ファシズム、ネオ・ナチズムとも違う、これまでにない右翼の台頭。80年代中葉以降に台頭した「新しい右翼」の形成過程と現状、展望を気鋭の研究者七人が具体的に分析。
目次
序章
第1章 ドイツ「新右翼」の構造と「政治の美学」
第2章 フランス極右の新現象―国民戦線の台頭
第3章 イタリア極右の穏健化戦略―イタリア社会運動から国民同盟へ
第4章 オーストリアの新右翼―「合意民主主義」の危機とオーストリア自由党の躍進
第5章 転換期中東欧の右翼ナショナリズム―ハンガリーに焦点をあてつつ
第6章 ベルギーのオランダ語地域に見る民族地域主義の歴史的変遷と極右現象
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
戦後のヨーロッパ各国における、いわゆる極右勢力の盛衰と、80年代以後に現われた、従来の極右とは異なる、ここでは便宜上「新右翼」と分類される政治勢力に関する90年代までの分析をまとめたもの。独仏伊三国の極右勢力は少数ながらも連綿と命脈を保ち、フランスでは政界に定着、イタリアでは与党の一角に食い込んだものの、この時点のドイツではまだ泡沫だった。しかし、新右翼と呼ばれる勢力は従来の極右の主張とは異なる、民衆の不満のトレンドに合わせる戦術で支持の裾野を広げるつつと分析されている。それが今日のポピュリズム勢力だ。2018/10/23
Takao Terui
2
各国の見取り図と共通の枠組みの提示が出来ているので、有用性が古びない良書だと思います。2016/07/18
taming_sfc
1
現在、欧州におけるポピュリズム研究が華々しいが、それよりも20年前にヨーロッパに顕著となりつつあった新右翼政党の動向について、理論的に考察した良書。ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、中東欧、ベルギーの個別事例もあり、いまこそ再読されるべき一冊。2019/03/05
ア
0
ネオ・ナチやネオ・ファシズム、旧右翼と区別される、新右翼に関する本。国によってその様相は異なるが、新保守とかなり似通っている。私は今回オーストリアに重点を置いて読んだ。2016年大統領選挙で躍進しているオーストリア自由党の右翼ポピュリズム政党化は、ハイダーの影響が大きいようである。しかしそれは本当にハイダーだけの影響によるのであろうか。他の要因はないのか。逆の極左としての緑の党と比較すると何が見えるのだろうか。今後の調査でみていきたい。2016/04/27
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