内容説明
装置としての絵画。現代美術の俊英による1992年から現在に至る全作品のドキュメント。
目次
時代を映す鏡でありたい
作品と解説
絵筆のミステリー
ルイ・ヴィトンとガラス玉、そして絵画
ドキュメントとしての作品
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
22
お気に入りさんのつぶやきを見て、是非見たい!と思った画集。あの有名なボッティチェルリの【春】やベラスケスの【ラス・メニーナス】の画中の人物の視点から見た、という構図。面白い!こんな風に見えるのね♪他にも北斎の【富嶽三十六景】を反転させたもの、写楽の大首穢を写実的に描いて再現したものなど、ユニークな発想を楽しみました。びっくりしたのは、オークションにかけられたというアンパンマンお絵書きに描かれたもの。間違ってレバーを引くと消えちゃいます(笑)2013/03/17
allite510@Lamb & Wool
8
ダヴィンチの有名な「聖アンナと聖母子」を、幼な子キリストの視点から描き直すとか、自作をポケットティッシュに印刷して街頭で配るとか、パロディや嫌がらせすれすれの現代美術作品たち。「アートの価値」とかに対する問いかけや、そのいたずらっぽい手つきは刺激的で割と好きだったのだが、今となってはジェフ・クーンズやダミアン・ハーストなんかのスケールの大きな悪意を前にすると、迫力に欠けるものも多いような気もする。巻末の建畠哲と森村泰昌の解説は、福田作品の、説明のめんどくさい部分を明解に語っていて素晴らしい。2018/01/14
p.ntsk
5
ボッティチェリ『春』の『ゼフェロスから見たクロリスとフローラと三美神』。マネ『草上の昼食』の『帽子を被った男性から見た草上の二人』。極めつけはレオナルド・ダ・ヴィンチ『聖アンナと聖母子』の『幼児キリストから見た聖アンナと聖母』。トリッキーな作品を手がける画家福田美蘭さん。でも単なるだまし絵的なものにとどまっていない。「ピクチュアレスク(絵のような・・・)」とあるように「まるで絵のような作品」を提示し、そこから逆照射することで絵画の本質を露見させているよう。理屈はともかく見ているだけで単純に楽しいです。2013/03/07
χ
1
ひねりの効いた作品ばかりで感心。宗教画のパロディで紅茶のティーバッグが降ってきてるのだけでも面白いのにさらに本物を紛れさせて自由に取れるようになってるのはサービス精神旺盛。法律的に問題ある作品は白抜きで掲載しそこを埋めるシールを添付するなんて本気だな、と思う。何が本気かわからないけど。おちょくってるようだが新しい視点には考えさせられる。美術、芸術には人の認識や生き方、在り方を1段階上げる機能がある。意欲的な作品集に満足2015/08/12