内容説明
かつてあのように心を躍らせてくれたオリンピックが死に瀕している!開会式から閉会式まで、つぶさに観察した著者の奏でる痛切なレクイエム。果たして、オリンピックは滅びの道を歩みはじめているのか?アトランタ・オリンピックを描くスポーツ・ノンフィクションの決定版。
目次
序章 冬のオリンピア
第1章 ささやかな助走
第2章 始めようぜ!
第3章 普通の国のジャンヌ
第4章 ストーン・マウンテンまで
第5章 華と爆弾
第6章 スターのいる風景
第7章 カーニバル、カーニバル
第8章 祭りは終わった
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
32
なんとタイムリーな題名か。いま世間を騒がしているウイルスとは関係のない1996年の米アトランタ五輪の観戦記。商業主義にひた走る五輪への沢木さんの冷ややかな視点は、今の五輪の衰退を予見していたかのようだ。ロサンゼルス五輪がその端緒とされるが、アトランタ五輪も酷かったんですね。バレーボールや柔道、体操などかつての看板競技で日本勢が軒並み負けたのも厳しい理由か。「近代五輪は古代五輪と同じ問題を抱え、同じ運命を辿っているように思える。もしそうだとすれば、後30年で消滅することになる」。ホントにどうにかしないと。2020/06/23
ポン
5
アトランタオリンピックの話ですが、『冠(コロナ)』に『廃墟』。偶然にも今回の東京でのオリンピアにとっても、暗示的な言葉が並びます。コロナで起こったかのような病巣は、過去からすでに内在していたものだったと感じました。沢木さんの次なるメッセージも期待します。2021/08/31
gaku
2
タイトルは今微妙だし、本来は東京オリンピックの年に読むのも因縁を感じるが、20年以上前の1996アトランタ五輪観戦記。沢木さんの得意分野であるスポーツ+旅行ということで、古い話でも臨場感がある。全般的に批判的かつクールな見方が多く、特にカール・ルイスや日本の女子バレー代表等の評価はかなり辛辣。お祭りの熱気よりもひどい現地ホテル・食事・交通事情の方が面白かった。この当時日本は体操・水泳・柔道・バレーボール等軒並み苦戦で、この後良く盛り返したものだなと感慨深い。米国の商業主義に毒されている様子が哀しかった。2020/09/19
hirayama46
1
沢木耕太郎によるアトランタオリンピック観戦記。なにしろ96年のことなのであまりぼくは憶えていないのですが、盛り上がりに欠けるところのあったオリンピックらしく、沢木耕太郎もあまり楽しんで観ている感じはしないな、と思いました。そもそも近代オリンピックというもののつくりについても疑問を持っているようですが。/村上春樹の「シドニー!」と合わせて考えると、オリンピックというのは言ってしまえば同じようなことの繰り返しなのかなあ、と観る分には思ってしまいます。そう考えると4年に一回という開催期間は絶妙なのかも。2013/02/28
鬼山とんぼ
0
スポーツ月刊誌「ナンバー」に10回連載のアトランタオリンピック観戦記が、かなり遅れて7年後に刊行されたものだが、敢えて文芸春秋の雑誌の素材を本にした毎日新聞社の慧眼に脱帽する。単純な書き屋でなくオリンピックの原点の探究から出発した姿勢、社会への的確な批評眼と端正な文章、選手に対する適切で温かい距離感の置き方など、やはり沢木耕太郎というスポーツルポライターとしては筆頭の人物の作品であると感じた。あまり売れた本ではないようだが、スピード感も読みごたえもあって満足した。2017/11/12
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