溺れるものと救われるもの

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022574916
  • NDC分類 976
  • Cコード C0031

内容説明

アウシュヴィッツの灰色の領域で―記憶を風化させる年月の流れ。犠牲者だけが過去に苦しみ、罪ある者は忘却に逃れる。生存者レーヴィの40年後の自死。

目次

1 虐待の記憶
2 灰色の領域
3 恥辱
4 意思の疎通
5 無益な暴力
6 アウシュヴィッツの知識人
7 ステレオタイプ
8 ドイツ人からの手紙

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

扉のこちら側

48
初読。著者の死の1年前に刊行された本。著者は作家生命の中で一貫してアウシュヴィッツを論じてきたが、記憶の風化へ、の自省を込めて書いている。善悪の単純な二分では語れない、灰色の領域について。2013/06/30

ケニオミ

14
日経の書評を見て手にした一冊です。最近は、余生が限られているせいか、暗い内容のものを受け付けられないようになっているみたいです。本書も半分くらい読んで挫折してしまいました。(結論は読みました。)結論を読んでのまとめですが、一度起こったこと(ホロコースト)は再び起こる。ホロコーストでも加害者は普通の人であった。それを避けるためには、そのような兆候に注意して起こらないようにする努力が必要である。2020/02/24

たまご

14
人間が関わって変化を及ぼす世界の事象は,二項対立ではなくて,グラデーションで推移していき,完全に2つに分けることはできないのでしょう.おそらく,どんな場面でも,相対的に,強者と弱者・もしくは(権力そのほかを)持つものと持たざる者を作り出してしまう.これは社会的生物である人間の,社会性の一つの側面として避けられないことなんでしょうか. あいまいははっきりしなくて嫌ですが,2つに分けるとそこで思考停止してしまうような気がします.嫌だけど考え続けなければいけないのだなあと.2014/09/23

くれの

13
アウシュビッツを生還した著者の遺作となった一冊です。戦後40年の歳月が過ぎ人々の記憶の風化を危惧する彼の焦りがこの本に凝縮されています。迫害者と犠牲者を単純に二分化する標題の二者の違いは何もないと痛感しました。2021/04/17

きゅー

12
溺れるものとは強制収容所から生き残った者が陥る境遇を示している。彼等は他人の犠牲のうえで助かったことを罪と感じ、自らを責め続ける。いわれのない罰を与えられた者が、いちど失った他人への信頼や自身の尊厳を取り戻すことは絶望的な試みだという。それにしても、レーヴィがどこから這い上がってきたか知るにつれ、彼の言葉の穏やかさに大いに驚かされる。強制収容所から解放された直後に書かれた『アウシュヴィッツは終わらない』から何十年も経てこのような静かな省察に満ちた本を出版し、その後彼は自殺した。言うべき言葉が見つからない。2015/05/25

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