内容説明
エロトマニア妄想症は「自分が相手に愛されている」と思いこむ妄想症状である。誰でも思春期にはスターなどに憧れ、相手のふとした仕草や表情に特別な意味を見いだしたりすることはある。エロトマニア妄想症患者も相手のごくありふれた言動から「愛されている」と思いこみ、それをきっかけに複雑な妄想の網の目を編み上げていく。しかも完成された妄想はどんなことがあっても揺るがない。あなたが拒絶し、説得し、いかに特別な感情は抱いていないと表明しても無駄である。あなたのすべての言動はエロトマニアの妄想のなかで愛情表現に歪められていく。誰がなんと言おうとエロトマニアはあなたに自分が愛されていることを知っているのだ！精神科医である著者はふとしたきっかけでエロトマニア患者であるフランの治療を引き受けた。そしてその後８年間にも及ぶ執拗なストーキングを受けることになった。本書はエロトマニア・ストーカーと対決した女性精神科医の苦悩と恐怖の日々を克明に綴った手記である。
目次
第１章 だれかに見られている
第２章 愛が妄想にすぎないとき
第３章 愛と妄想の関係
第４章 抑制
第５章 法廷に秩序はない
第６章 ストーカーをストーキングする
第７章 逃げ場を失って
第８章 ストーキング防止法制定の進化
第９章 永遠にエロトマニア
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
9
精神科医とは危険な職業である。相手に愛されていると思いこむ「エロトマニア妄想症」罹患者であり、かつ同性愛者の女性に恋慕される。そのストーカー行為は８年にも及び、恐怖に晒される。その間、ストーキング防止法が制定され、ようやく患者は収監されることになったが、いずれ出てくる。患者の妄想が消えない限り、著者の苦悩は続く。2019/03/16
aiko
2
この本が出版されたのは1999年です。けれども、何の役にも立っていません。題名がエロトマニアと言うのも女子には手に取りにくいと思います。でも、朝日新聞社がもう少し、この本を取り上げ、社会に広まる努力をしていたら、ストーカー被害が少なく出来たのではないか？と思うと残念でなりません。そうした被害に遭われている方々にぜひ、読んでもらいたいと思いました。2016/06/11
あ
1
「彼女は私を愛しているに違いない」、そうした根拠のない妄想持った人間に8年間も付きまとわれる恐怖と緊張を冴えた筆さばきで克明に綴った、実録ストーカー本。彼女から逃走しても無駄である。なぜなら接触を維持するために州を股に掛けて追いかけてくるのだから。本書には良質なスリラー映画さながらのスリリングな体験が克明に刻印されています。2016/12/12
る-さん
1
名前からしてただならぬ感じを漂わせていたために手に取ってみたら、凄まじい内容だった。著者とこのエロトマニアと称されるストーカーとの間のやりとりが内容で、著者側の被害者としての視点および精神科医としての視点の両方で書かれており、一人の人間の視点やモチベーションなどが立場によって異なる様はとても興味深い。幸いに著者は精神科医だから情報源に手を伸ばしやすかったのかもしれないものの、一般人であればとうていやるせない争いであっただろうとどこか脱力感を覚えた。妄想の持つ威力について大変考えさせられた一冊だった。2012/04/28
たくちゃんのなおちゃん
0
ストーカーの執拗さが怖い。2010/07/16
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- 和書
- 岩波ことわざ辞典
