内容説明
広大なる『華厳経』終章、入法界品、東大寺による初めての要略。文殊菩薩の教えにより、仏道への導きの友「善知識」を尋ね、善財童子は、果てなき、さとりへの遍歴を重ねてゆく。ついに普賢菩薩にまみえ、清浄なる仏国土へと歩み入る…。国宝「華厳五十五所絵巻」をカラーで掲載し、その各場面を捜図としながら、要略を旨とした書き下し。
目次
シャカムニ世尊の神変
文殊師利
徳雲比丘
海雲比丘
善住比丘
弥伽長者
解脱長者
海幢比丘
休捨優婆夷
毘目瞿沙仙人〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三平
9
その愛らしい姿で仏像ファンから人気を集める善財童子。 そんな少年が華厳経の主役だったと知り、興味を持ち手に取った。 この本の特徴は「華厳五十五所絵巻」を用いて、童子の求道の旅を紹介しているところ。内容は難しいけど、解脱して様々な神通力を持つまでに達した人たちの凄さ(ビックリ人間大集合?)と童子の愛くるしさは確かに伝わった。 これを読むと昔の仏教は遥か高みを目指す聖人のもので、身近なものではなかったのだと感じた。歎異抄の方が凡人にはしっくり来るなあ。2017/04/18
chang_ume
8
絵画史料『華厳五十五所絵巻』[東大寺蔵]をもとに『華厳教入法界品』の現代語訳。善財童子の旅路が色鮮やかに描き出される。適度に現代的表現のアレンジが読みやすい。ただ抄訳の側面もあって、華厳教原文と読み比べると肝心な内容が訳出されていない点も多い。このあたり訳者の興味関心がやはり前提なのでしょう。『絵巻』図版は文句なく素晴らしいので図録的な活用に。2023/04/28