出版社内容情報
四万冊を超える本に囲まれ、九官鳥にトルストイを読み聞かせる日々を送る唐蔵餅之絵。死に際して大量の蔵書を整理した彼は、切り刻んだ書物を身にまとって焼かれた。蔵書、辞書、聖書――知を求める得がたい歓びと、その果てを問う三篇
【目次】
内容説明
死んだあと、その膨大な蔵書はどうなる?蔵書、辞書、聖書―知を求める歓びの先に待つものとは。四万冊を超える蔵書を整理した老人は、切り刻んだ書物を身にまとって焼かれた。第10回林芙美子文学賞佳作受賞作ほか三篇を収録。
著者等紹介
鈴木結生[スズキユウイ]
2001年福岡県生まれ。2024年、「人にはどれほどの本がいるか」で第十回林芙美子文学賞佳作、25年『ゲーテはすべてを言った』で第一七二回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
35
『本』に関する3篇の中短編を収録。 表題作『人にはどれほどの本がいるか』、読書と蔵書の蒐集、それらが最終的にどうなるのかを描いていく。タイトルはトルストイ『人にはどれほどの土地がいるか』のもじり。作中にも名前が出る紀田順一郎を感じながら読んだ。 『完壁な辞書』、教員二人が辞書の誤字探しに興じる平和な争い。 両作とも、文学や書物、読書、創作への愛が随所から感じられ、静かな熱量が伝わってくる。老成し落ち着いた文体。 調べると、作者は二十代前半。え、嘘でしょ。この作者、只者ではない。2026年ベスト級の一冊。2026/09/23
よっち
24
4万冊を超える本に囲まれ、九官鳥にトルストイを読み聞かせる日々を送る唐蔵餅之絵ほか、本を集める喜びと、集めすぎた果てを問う三篇の短編集。晩年、若い助手の手を借りて4万冊超の蔵書の目録づくりと蔵書整理の終活を始めた餅之絵の生い立ち、妻、仲間との読書観と、人に本はどれほど必要なのかという問い。辞書の誤りを探すことで対決する高校教師2人。偽の記録めいた体裁で猫のための聖書を書く漱石の門下生。個性的な人名と豊富な引用、積読や蔵書の処分に悩む感覚と重ねながら、人が最後にどれだけの本を抱えて死ぬのか考えさせれました。2026/09/06
kum
21
2作目、3作目はなかなかディープでギブアップ気味ではあったが、とにかく沢山の言葉を浴びた感。1作目『人にはどれほどの本がいるか』が一番面白かった。物語はひとりの老人の葬儀から始まる。死装束は多くの貴重な資料を破いて作られたもの。書庫兼書斎で孫が見つけたものは、書庫の模型と蔵書の全目録データ。四万冊を超える蔵書を抱えた老人が死を前にどのようにそれを整理したのか。若き助手アシヤグビのテキパキとした活躍に見惚れた。2026/09/20
ズー
17
人にはどれほどの本が必要かを研究した本なのかな?と思って読んでみたら小説だった!で、読み進めていくと、あれ?なんか「ゲーテはすべてを…」っぽいなぁと思ったら同じ作者だった!本を学者レベルで愛している、裕福な人物が知識をフルに生かして語る、そこをベースに色んな話を書いている方だなと思った。だからどの話もなんか似ているんだけど、知識がすごいから、色んな本のジャンルで書いているから面白い。狂気なまでの本への愛。鈴木さん一体何者?3つめの作品なんて、昔の語りで書いているし。読みながら文学を学べるすごい一冊。2026/09/09
まろ
10
芥川賞作家、鈴木結生さんの中編集。タイトルや装丁に惹かれる人多いんじゃなかろうか。期待を裏切ることなく、全編通して本、言葉、作家、そして読むという行為への愛と敬意が詰まっていて、読んでいて心地がよい。古今東西様々な文学からのもじりもいっぱいで、作者の膨大な読書量と、それを遊び心持って物語としておもしろく昇華させる力量がすごい。わたしがわからない引用も多々あるんだろうな。読んだ本多い人ほど楽しめると思う。ふと巻末の著者の経歴みて、2001年生まれと知りひっくり返りそうになった。その若さでこれ書けるの…?2026/10/03




