出版社内容情報
「東海道五拾三次」など当時の日本の情景を描いた武家出身の歌川広重、常識破りの奇想絵で人気を博す歌川国芳─切磋琢磨しあう好敵手でもある二人の天才に、葛飾北斎の娘・お栄も絡んで描かれる秀逸な青春物語にして絶品の成長小説でもあり、究極の芸道小説。
【目次】
内容説明
情景画を得意とする広重と常識破りの奇想絵の国芳に、葛飾北斎の娘・お栄を絡めて、画に魅入られた絵師たちを活写する長篇時代小説。
著者等紹介
武内涼[タケウチリョウ]
1978年、群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、映画・テレビの制作に携わる。2011年『忍びの森』でデビュー。15年「妖草師」シリーズで徳間文庫大賞を受賞。さらに同シリーズが「この時代小説がすごい!2016年版」〈文庫書き下ろし部門〉第一位となる。22年『阿修羅草紙』で第二十四回大藪春彦賞、24年『厳島』で第十二回野村胡堂文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
62
歌川広重、歌川国芳、そして葛飾北斎の娘である応為ことお栄、同時代で人気を競った浮世絵師たちの足跡を描いた長編。広重、国芳の二人についてはもちろん興味尽きず、読み応え十分なのだが、その二人に留まらず、当時の浮世絵師たちが次々と登場し、浮世絵師たちの群像劇となっている処が嬉しい。歌川豊国、歌川豊広、歌川国貞ら、それぞれの絵師としての個性が描かれる一方、常に新しい絵を追求し続けた葛飾北斎の存在に魅了されます。2025/09/13
ゆのん
36
歌川広重、歌川国芳、そして葛飾北斎の娘お栄(後の葛飾応為)。絵に魅了された幼少期からの生涯は苦悩、挫折と情熱の物語。生まれにより絵師になれない者あれば、描きたい絵を描けない弟子時代もあり、それでも絵への情熱と執着は衰えない事に驚くし、感動する。美術館へ何度も足を運ぶ程に好きな葛飾北斎も登場し、やはり絵に対する燃え盛る様な情熱に圧倒される。2人の歌川はライバルであり、同志でもありその関係性がとても良かった。個人的には広重と妻の部分がとても気に入った。今後、美術館に見に行ったら新しい目で見えるのかもしれない。2025/04/12
kawa
32
歌川広重、国芳と北斎の娘・お栄(葛飾応為)の友情から始まる幕末の浮世絵師(史)の物語。彼らと北斎の関係性や浮世絵師として身を立てるまでの描写が読みどころ。各々の代表作品への取り組みや他者作品との関係性に触れられるところも嬉しい。浮世絵師を描く既読の朝井まかて氏「眩」(応為)、梶ようこ氏「北斎」(北斎と一門)、「ヨイ虎」(歌川一門)、谷津矢車氏「おもちゃ絵芳藤」(歌川国芳の弟子)の再読意欲も高まる。2025/09/27
onasu
24
歌川広重、歌川国芳、葛飾応為、3人の絵師が子ども時分、絵の好きな少年少女として暫し集っていて、(広重の家の事情から)その後は会うことも稀になるが、互いの消息は耳にしており、友誼は続いていて要所で出会わさせているのは好演出。 ただ、3人を描いている(北斎にも紙幅を割いている)分、各々の話を読んだことがあれば、なぞった感を覚えてしまうのは致し方ないか。 とは言え、富岳三十六景(何処を応為が描いていそうか)、東海道五拾三次(音や匂い)を改めて眺めてみたいと思わせてくれたのには感謝したい。2025/10/05
星落秋風五丈原
19
ベロ藍で有名な歌川広重、お化け絵で有名な歌川国芳、葛飾北斎の娘として最近知名度があがってきた応為が幼馴染だった設定の時代小説。2025/10/05




