出版社内容情報
がん治療の医師として、自らもがんサバイバーとして、がんで妻を亡くした遺族として、あらゆるがんの局面を知る著者は、これまで全国各地を訪れてがん経験者、がんで親族を亡くした人々を励ましてきた。 2023年3月、青森県八戸から福島県相馬まで、延べ1000キロ踏破の旅に出た。80歳を超えた著者が最後のウォークとしてこの地を選んだのは、「がんで足をすくわれた人、津波で足をすくわれた人は同じではないか?」という思いからだった。 旅を始めようとした矢先、思いがけず、ドキュメンタリー映画を撮らせてほしいとの連絡が入った。三陸海岸沿いのトレイルを一歩ずつたどる旅。各地で出会った被災者、がんサバイバーから生きる力をもらったという著者。震災から12年を経てなお、各地に残る震災の爪跡や復興途上の姿に何を感じたか。詳細な記録と率直な思いにあふれた旅の記録から、人間のレジリエンス力を感じ取る。 高齢者が自宅で実践できる著者のトレーニング法など単身老後の日々の備えも明かす。
内容説明
人は苦しみの中から、つらさの中から立ち上がる。そのきっかけとなるのは、かすかな希望だ。どんな困難な状況にあっても、前を向き、日々よく生きようと、視線を上げて歩く人の肩に、そっと天使の羽毛のごとく、希望が降り立つ―。映画「Dr.カキゾエ歩く処方箋」撮影の裏舞台も明かしつつ、東日本大震災の被災地を歩きながら沈思黙考した6つの論を併せて綴る、心温まる旅の記録。
目次
第1章 八戸から釜石まで
第2章 新花巻から松島まで
第3章 防潮堤論
第4章 景観論
第5章 塩釜から相馬まで
第6章 島巡り
第7章 映画論
第8章 歩行論
第9章 災害論
第10章 希望学
著者等紹介
垣添忠生[カキゾエタダオ]
1941年大阪府生まれ。日本対がん協会会長。国立がんセンター名誉総長。東京大学医学部卒。医学博士(東京大学)。1975年から国立がんセンターで医師としてがん治療にあたり、国立がんセンター研究所でがんに関する基礎研究にも邁進。自身、大腸がん、腎臓がんに罹患、治癒したが、妻を小細胞肺がんで亡くす。2007年に定年退職後、日本対がん協会会長として、がん検診の重要性、がんサバイバーの支援、がん患者の在宅緩和ケア、がん遺族のグリーフケアを目標に日本全国を行脚。2023年、81歳で歩いた「みちのく潮風トレイル1000km」の様子を撮影したドキュメンタリー映画が作成され、2025年春公開の予定(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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