出版社内容情報
第二次大戦後に分断され、再びひとつの国に統一された日本。だが東西の格差は埋まらず、東日本の独立を目指すテロ組織が暗躍し……。意図せずテロ組織と関わることになった一条昇と、その幼馴染で自衛隊特務連隊に所属する辺見公佑の二人。社会派エンターテインメント巨編。
内容説明
人々が幸せに生きている国など、この世のどこかにあるのだろうか。第二次大戦後、日本は大日本国(西日本)と日本人民共和国(東日本)に分断された。ベルリンの壁が崩壊する頃、日本もひとつの国に統一された。だが四半世紀を過ぎても格差は埋まらず、再度、東日本の独立を目指すテロ組織が暗躍しており…。最高のエンターテインメントにして、重厚な社会派巨編。
著者等紹介
貫井徳郎[ヌクイトクロウ]
1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。93年、第四回鮎川哲也賞の最終候補作となった『慟哭』でデビュー。2010年、『乱反射』で第六三回日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門、『後悔と真実の色』で第二三回山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんたろー
133
敗戦で日本が東西に分断されていたら?という設定の物語は、普通の青年・一条、一条の親友の自衛官・辺見、二人の視点で描かれるサスペンス。現実の日本でも同様である経済格差や人間の本質である闘争本能に言及して、社会派ではあるが「if」の面白さも加味して楽しませてくれた。一条の仲間・聖子、辺見の相棒・香坂、二人の女性のキャラが立っているのに対して、肝心の主役二人が魅力に乏しく感じたのが残念…二人の友情を描くシーンが少ないからだろう。著者らしく飽きさせずに読ませてはくれたが、風呂敷を広げた割には....?という印象。2024/07/23
のぶ
129
貫井さんの新作は歴史改変ものの物語でした。第二次世界大戦後、東日本と西日本に分断されソ連とアメリカに統治された世界。その後、ソ連邦の崩壊、東西冷戦の終結に伴い再び統合された日本は、格差が固定化し、貧困が蔓延る旧共産主義国である東日本の独立を標榜するテロ組織が暗躍していた。意図せずしてテロ組織に関わることになった一条と彼の幼馴染で自衛隊特務連隊に所属する辺見。改変された世界には特に違和感はなかったのですが、全体的にちょっと風呂敷を広げ過ぎかな?長大な作品をうまくまとめ切れていない気がしました。2024/05/17
となりのトウシロウ
128
第二次対戦後、日本は米国に統治された西日本とソ連に統治された東日本の二つに分断される。ベルリンの壁崩壊後に東西日本も統一を果たすが、30年経た今も東西の経済格差は埋まらず、東日本独立を目指すテロ組織が暗躍する。一条昇は意図せずそのテロ組織に関わるようになり・・・。息もつかせぬ展開にページを捲る手が止まらず読了。人間の行動を突き動かすのは怒りであり理性である。現代資本主義社会が生んだ闇や人間の醜悪が突きつけられる。真の人間の幸せとは何か。お前ならどうすると問われ、考えさせられる作品。2024/09/01
tonnura007
125
戦後分断された日本はドイツに倣い東西統一する。しかし経済力に劣る旧東日本人は二等国民として旧西日本人に対して劣等感を抱き続ける。東日本人の一条はある事件をきっかけに東日本独立を目指す組織MASAKADOに所属することになるのだが、、、。 舞台設定は素晴らしく、冒頭から暗澹とした気持ちになる。日本大分断はないにしても、北海道の東西分断は現実にありえたので背筋が寒い。ただ壮大なテーマであるだけに最後はまとめ切れていない印象が強い。冗長な部分と拙速な部分があるので、全体にもう少し滑らかな展開にしてほしいと思う。2025/01/19
hirokun
102
星3 貫井さんは私の好きな作家さんの一人で今回も期待して読み始めた。現在社会において大きな問題となっている経済格差の問題をテーマにして、分裂日本を舞台設定の上展開されるストーリーであったが、私の感想としては最後の話のまとめが余りにも取って付けた様な展開で些か興ざめ。社会の二極分化を人間の持つ闘争本能と資本主義経済のよって立つ本質と関連させて語らせるのは興味深かったが、少し深掘り不足の感が否めない。2024/06/20
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