出版社内容情報
鳥取にある「野の花診療所」は19床の小さなホスピスで、始まってから23年が経とうとしている。ここでは今日も誰かがこの世を去っていく。死はつらく、悲しい現場ではあるけれど、必ずどこかに人間の持つ温かみやユーモアがある。死に向かう人々の健闘を伝えたいーー「野の花診療所」の院長である医師が、患者さんとその家族の姿をうつしだした、おそらくこれが最後のエッセイ。
内容説明
「わし、もう死にたい」と言われたとき、どう答えるか―病める人、見守る人の気持ちはうつろい、死の前を行ったりきたり。それでも人は、死に向き合う力を持っている。在宅ホスピスも行う19床の有床診療所を始めて23年。多くの患者と、その家族のそばにあり続けた医師からのこれが、“最後”の野の花通信。
目次
1 2019年 さくら(フウケイ;接続詞の患者さん ほか)
2 2020年 すみれ(餅つき;お空の星に ほか)
3 2021年 ふきのとう(イタズラ;コロナと面会 ほか)
4 2022年 はまだいこん(ナっルホイヤ;レトルト食 ほか)
5 2023年 そらまめ(正月のハピバースデー;霊場で考えたこと ほか)
著者等紹介
徳永進[トクナガススム]
1948年鳥取県生まれ。内科医。京都大学医学部卒業。鳥取赤十字病院内科部長を経て、2001年、鳥取市内にホスピスケアを行う有床診療所「野の花診療所」を開設。1992年、地域医療への貢献を認められ第1回若月賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゃが
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鳥取の医師・徳永進さんの小さなホスピスで野の花診療所」での著作。「死という、つらく、悲しい現場ではあるけれど、必ず人間の持つ温かみがある」という考えで綴られている。患者さん、家族、医療者の死や生きることへの揺れ動く葛藤や温かくもある哀惜が語られている。今は完全看護の医療が主流だが、ホスピスケアや在宅医療には従来の枕頭看護が欠かせない。これからは「学びlearnを学びほぐすunlearnことが必要」だと痛感。私は野の花診療所で最期を迎えたいのが切なる希望だが、保護者が通える距離ではないのでそのことが残念。2024/04/07