出版社内容情報
「国民的地元のツレ」、ヒコロヒー初の小説!
平気をよそおって言えなかった言葉、感情がほとばしって言い過ぎた言葉。ときに傷つきながらも自分の気持ちに正直に生きる人たちを、あたたかな視線で切り出した共感必至の掌編18編を収録。
内容説明
感情がほとばしって言い過ぎた言葉、平気をよそおって言えなかった言葉。「もう黙って」「もっと喋って」と思わずにはいられない、もどかしくて愛おしい掌編18本。記憶の片隅にあった感情がじわっとあふれ出す短編恋愛小説集。
著者等紹介
ヒコロヒー[ヒコロヒー]
1989年、愛媛県生まれ。ピン芸人。著書にエッセイ集『きれはし』がある。本書は初の小説集となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mayu
61
わたし好きだわ。この作品。浮気を繰り返す男、許す女。『俺のこと好きでしょ』『青井とはただの友達だって何回言えば分かんの?そういうんじゃないって』まぁまぁよくあるシチュエーション。なのだが、えっ!こんなフレーズは初めてかも。そうかもしれないねと腑に落ちる。短編集なので、それぞれ一編のタイトルも良い。リズムとかヒコロヒーの言葉選びが好きだ。これからも読みたい。2024/05/13
tenori
46
あぁ、鬱陶しいな。人間関係は煩わしい。中でも恋愛とはその極みだろう。それでも渦中にある当人にとっては至上の悦びだったりするわけでそこに客観は存在しない。様々なシチュエーションで彩られた恋愛短編の数々から作者の想像力の豊かさを垣間見れるのだが、盲目となる当人の傍らで客観視している者がいるところが面白く、それはヒコロヒーさん自身なのかもしれない。どこか冷めた視点で綴られた物語はとことん鬱陶しく、それでいて懐かしいようなくすぐったいような気持ちになってしまう。不思議な吸引力を持った一冊。2024/10/13
竹園和明
43
ヒコロヒーが綴った18のショートストーリー。超ショートなのに各話とも会話を盛り込んだ上でしっかりした作りになっていて正直驚き。心象表現の語彙が豊富で、状況の設定も含めさすがテレビの世界で生きている人だと思った。行間に隠れた心の動きの表現がとても上手。特に「覚えてないならいいんだよ」は、こんなオッサンでも年甲斐もなく切なくなってしまった。それは短編だからこそ活きる題材ね。長編でダラダラ書いたんじゃ焦点がボヤけてしまう。そういう構成を見極めるセンスも光ってます。なかなかやりますねぇヒコロヒー姉さん😎2024/12/18
pen
39
「お笑い」とか全然見ないのでまず本人が解らない。だから芸人さんが書いた本と言うより、初読みの作家さんという感じの恋愛短編集。別れようと思ったその瞬間。好きであることに気づいた時。実はかけがえのない日々だと思い知った後悔。恋愛の一瞬を切り取り、ちょっと刺さったりする描写もあり、各章のタイトルにも唸らされるけど、如何せん、感情移入するには年代が乖離し過ぎて他人事になってしまう。18の短編は、ちょっと飽きてしまった。でも作品のせいではなく 読み手側の問題。(笑)2024/04/10
ぐうぐう
39
ヒコロヒーのコントは、その風貌から受ける印象とは違い、まったくやさぐれていない。やさぐれるどころか、セリフのチョイス、言い回し、展開のさせ方等々、どれを取っても繊細である。彼女に小説を書かせたくなった編集者の気持ちがよく理解できる、そんなコントだ。そして重要なのは、ヒコロヒーのコントは、主にコミュニケーション不全を描いていることだ。コントにおけるコミュニケーション不全は、当然のこととして笑いを誘発する機能として発揮される。(つづく)2024/02/22
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- 秀吉を討て 角川文庫