出版社内容情報
原因不明の歯痛に悩む私が訪れた不思議な歯医者(『太陽』)。女ともだちをサプライズパーティに連れ出す予定が……(『獣の夜』)。短編の名手である著者が、日常がぐらりと揺らぐ瞬間を、ときにつややかにときにユーモラスにつづった傑作短編集。
内容説明
サプライズパーティを予定する女性、長期休暇中の中年男性、治らぬ歯痛を抱える女性会社員…。眼の前の世界が不意にぐらりと揺らぐ瞬間を、さわやかに、艶めかしく、ユーモラスに描き出す。『カラフル』『みかづき』の著者が贈る、掌編を含む7編の愛すべき作品集!
著者等紹介
森絵都[モリエト]
1968年東京都生まれ。早稲田大学卒業。90年「リズム」で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で路傍の石文学賞、『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞する。03年、児童書ではない初の一般文芸書『永遠の出口』を上梓し高い評価を得る。06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、一七年『みかづき』で中央公論文芸賞を受賞、同作で本屋大賞二位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
334
森 絵都は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の久々の新刊は、頁数も内容もヴァラエティに富んだ短編集でした。オススメは『雨の中で踊る』&表題作『獣の夜』&『あした天気に』です。 私の家の近く(住宅地の中)に、何故かジビエを食べられるお店があります(但し、あまり美味しくありません;笑) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001766.000004702.html2023/07/19
いつでも母さん
180
バラエティに富んだ7話。えぇーこれで終わり❓️って短編もあった。表題作はタイトルから想像する通りで、彼女たちが逞しくて面白かった。ちょっと私には意味不明なのもあったけれど、最後の『あした天気に』も良かった。「俺のあしたを晴れにできるのは俺自身だけだったのに」今なら、今だから分かる思いもあるよね。2023/07/26
nonpono
158
まさに帯の「ありふれた一日のはずだったのにー」。まず「雨の中で踊る」のヴィヴィアングリーンという歌い手の「人生は嵐が通り過ぎるのを待つことじゃない。雨の中で踊る。それが人生だ」に打たれた。パンデミックのような世界で男は海に辿り着く。この不思議な味わい。表題の「獣の夜」の男と女のねじくれた関係に赤ワインとジビエの相性よ。世界の軸が刹那にぐるぐるとまわる。わたしたちは無力だ。「あした天気に」の「だって、この世界はどんなことだって起こりうるんだから」とテルテル坊主のバランスと懐かしさに酔った、心地よく。2023/09/20
愛玉子
115
普通の短編からショートショートほどの長さまで、コロナ禍の日常から少し不思議な非日常まで、じんわりと楽しい短編集。『雨の中で踊る』は言い回しがいちいち面白く、土地鑑あるからニヤッとしちゃう。『太陽』の歯医者の風間先生、私もかかりたい。治療も処方箋も素敵すぎる。表題作はそうだよ、こんな夜は肉よ肉!という獣っぽい力強さにニヤニヤ。全体的にニヤつきながら読んだけれど「たとえ世界がどんなふうに変わっていこうとも」自分のあしたを晴れにできるのは自分自身だけ。見て見ぬふりをしていた心の澱を解してくれるような一冊でした。2023/10/16
machi☺︎︎゛
108
バラエティに富んだ話が7篇。森絵都さんらしさもありつつ、たまに彩瀬まるさん?と錯覚するような場面もありで面白かった。多分こうなるだろうなと思う展開を見事に裏切ってくれる話が多くもっと新展開を欲しがる自分がいた。特にジビエの話の「獣の夜」もう最高だった。後は「ラン」の番外編の「スワン」も良かったから「ラン」も読んでみたくなった。2023/09/05