出版社内容情報
占いを信じていない占い師であり、違法カジノのディーラーでもある僕に舞い込んだ、ある組織からの指令。それは冷酷な資産家の顧問占い師となることだった──。国内外から新作を待望される著者が描き切った、理不尽を超えるための強き光。新たな代表作、誕生!
内容説明
占いを信じていない占い師、そして客を翻弄する違法カジノのディーラー。彼が組織から依頼された仕事は、ある冷酷な資産家の、顧問占い師になることだった。
著者等紹介
中村文則[ナカムラフミノリ]
1977年、愛知県生まれ。福島大学卒業。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞し、デビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸“スリ”』で大江健三郎賞受賞。『掏摸“スリ”』の英訳が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの2012年の年間ベスト10小説に選出される。14年、日本人で初めて米国でデイビッド・グディス賞を受賞。16年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
330
中村 文則は、全作品読んでいる作家です。 https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11074106?sort=book_count&order=desc 本書は、澁澤龍彦風、悪魔的妄想カード小説でした。この小説を朝日新聞で連載していたこと自体が凄い。偉くなると信頼出来る人がいなくなるのか、占い頼みの人が多い気がします。私は、占いの類いは一切信じていません(笑) https://book.asahi.com/article/143476462021/05/25
bunmei
232
学術的専門分野に裏付けされた記述や文学的な表現、そこに中村氏自身の哲学とを重ね合わせ、読者を威圧してくる。その圧倒的な情報量と緊迫感のある展開に、難しさも感じるが、読み応えがあり充足感も与えてくれる。今回も、賭博のカード師を主人公にしたスパイ・ミステリーであるが、そこに幼少期のトラウマ、ギリシア神話、魔女狩り、ポーカー、タロット占い等の、様々なエッセンスが詰め込まれたエンタメ作品となっている。中でも、賭博場でのポーカーの極限の心理戦を描いた筆致は、その場の息遣いまで聞こえるような臨場感が伝わってくる。 2021/05/27
パトラッシュ
192
占いを信じない占い師を装う違法カジノのディーラーとは、また複雑怪奇な設定だ。占いが百発百中なら賭博で連戦連勝のはずが、信じないからこそ兼職できるのだから。裏社会の奇々怪々なキャラに翻弄され、途中からは新型コロナ流行も加わって明日の読めない世界で明日を読むよう要求される主人公は不条理の渦中でもがく。その姿は自分が毒虫に変身しているのに気づいた会社員そのものだが、全財産を賭けたポーカー勝負に巻き込まれながら逃げ切れたため何とか社会にしがみつけた。この危険で苦悩に満ちた不安定さこそ作者の描きたかったものなのか。2021/05/31
R
158
本筋と関係ない、カード賭博の熱い戦い部分がエンタメに振り切れててすごい面白かったんだが、全体的には結構哲学的で難解な物語だった。カードといかさまと運命という、共通項なりえそうな要素で話は進むのだけども、実際はそれぞれ独立していて、相互関係はなく、でも、運や、勝負術や、生きる目的のようなものが何か、それを実践して探求していく。カード勝負のひりつく緊張感、世界に対する諦めと愚痴とが混じる、運命を呪う様というのが、現実や事実を蔑ろにして、心理、精神における上位の在り方を嘲笑うような文章だった。2021/10/18
うっちー
150
これを新聞連載で読むことができるのでしょうか?2021/06/21