出版社内容情報
クラシック界の巨匠たちが頼った耳がある。東京・サントリーホールからハンブルク・エルプフィルハーモニーの音響設計まで。世界有数のコンサートホールの「響き」を手掛ける日本人トヨタは、いかにして究極の音を実現させたのか。その謎に迫る。
内容説明
音楽好きの人ならば、「彼」の姿を、東京、ベルリン、パリ、ロサンゼルスなど、内外の名だたるコンサートホールで見かけるだろう。銀縁眼鏡の奥の視線は、ホールの空間とオケの配置を鋭く見定めている。彼の名は、豊田泰久。コンサートホールの、究極の黒衣である。
目次
序章 コンサートホールの黒衣
第1章 運命を決めた演奏会
第2章 ふたりのマエストロとの出会い
第3章 21世紀のコンサートホールが完成した
第4章 音響は科学か、それとも天気予報か
第5章 「大地の歌」をめぐって起きた「事件」
第6章 究極の響きを指揮者とつくる
終章 コロナ後のコンサートホール
著者等紹介
石合力[イシアイツトム]
1964年、大阪市生まれ。1988年、朝日新聞社入社。中東アフリカ総局長、国際報道部長、ヨーロッパ総局長などを経て現在、大阪本社編集局長補佐。外交、紛争地取材のかたわら、クラシック音楽と政治、社会に関する取材も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
78
今や世界的カリスマである豊田泰久さんに朝日新聞の石合さんが迫るが、「ホールの音質は、その形と材質で全部決まる」と素っ気ない。理論的なことや科学的な質問に対しては「そんなものはどうでもいいんじゃない」。ホールという楽器を使いこなせるかは演奏家次第で「誰が指揮してもいい音響を持つホールはありえない」というのが世界一の音響設計家の言葉である。エルプフィルハーモニーでの有名なスキャンダルや、ゲルギエフ、ラトルらとの親密な関係など、音楽界の話題が豊富で興味深く読んだが、結局、響きの極意に触れることは叶わなかった。2021/04/26
はやしま
32
コンサートホールも楽器なのだ。音響設計家という職業を初めて知った。世界各地の名だたるホールで音響設計を担当する豊田氏について。kitaraで一流の音響で音楽が聴けることはとても幸せなことなのだな。多くのマエストロや建築家とのやりとりは新聞記者だけあって読ませる展開。コロナ禍でクラシック音楽の演奏を取り巻く環境も変わったが、そこでの試行錯誤についても記されており、時宜を得た一冊にもなっている。後年文庫化など版を変える際は現時点で構想段階のもののその後やコロナ後の状況などを増補して欲しいと欲張りな思いも。2021/11/29
まっと
24
世界各地で名だたる作品を残す世界的音響設計家豊田泰久。演奏家と聴衆、或いは聴衆同士の親近感・一体感が基本コンセプトであり、「豊かな音」と「クリアに響く音」の高次元での両立を追求する姿が大物建築家・指揮者達を惹きつける。ホールという「楽器」を作るには設計段階での建築家とのやりとりがあり、完成後も「いい音響」を引出す為の指揮者・演奏家・オケとのやりとりを通じ最良の響きを探し求める作業があって初めて評価が出来上がっていく。彼が手がけたサントリーホールやミューザ川崎での演奏会でその恩恵を受ける幸せを改めて実感。◎2023/06/25
vinlandmbit
20
図書館本。音響設計、とりわけクラシックコンサートホールの音響設計のプロの仕事を垣間見れる貴重な一冊でした。2023/08/26
ふう
15
音響設計家 豊田泰久。世界のコンサートホールの音響における第一人者。超一流の指揮者たちと交わしたウイットに富む会話のエピソードがお洒落だが、仕事自体は繊細で重圧も半端なく、大変だろうなと推察する。どの曲を、どのオケで、どのホールで、誰が振って、とさまざまなコンサートが記されているが、せめて国内だけでもあちこち聴きに行きたいもの、と思いが募った。豊かでかつクリアに聞こえる響き、いいな。佐治敬三のサントリーホールがスタート、というのが素晴らしい。そして、視覚と音響は繋がっている。顔が見えれば音がクリアになる。2021/06/19
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