出版社内容情報
手塚治虫の未完「火の鳥・大地編」。手塚の構想を下敷きに、桜庭一樹が新たな物語に結実した。舞台は1938年、日本占領下の上海。ロックや猿田博士だけでなく、東条英機、山本五十六など実在の人物らも「火の鳥」を求めて暗躍する。
内容説明
一九三八年、日本占領下の上海。若く野心的な關東軍将校の間久部緑郎は、中央アジアのシルクロード交易で栄えた楼蘭に生息するという、伝説の「火の鳥」の調査隊長に任命される。資金源は、妻・麗奈の父で、財閥総帥の三田村要造だという。困難な旅路を行く調査隊は、緑郎の弟で共産主義に共鳴する正人、その友で実は上海マフィアと通じるルイ、清王朝の生き残りである川島芳子、西域出身の謎多きマリアと、全員いわく付き。そこに火の鳥の力を兵器に利用しようともくろむ猿田博士も加わる。苦労の末たどり着いた楼蘭で明らかになったのは、驚天動地の事実だった…。漫画『火の鳥』や手塚作品に数多く登場する猿田博士やロック、マサトたちと、東條英機、石原莞爾、山本五十六ら実在の人物たちが歴史を動かしていく!
著者等紹介
桜庭一樹[サクラバカズキ]
1971年島根県生まれ。99年「夜空に、満天の星」で第一回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で第六〇回日本推理作家協会賞、2008年『私の男』で第一三八回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
239
桜庭 一樹は、新作中心に読んでいる作家です。『火の鳥』は知っていますが、漫画は読んだことがなく、アニメも観ていないので、小説が初めてです。もっとSFっぽいのかと思いきや、歴史ファンタジーのような雰囲気です。上巻は一気読み、続いて下巻へ。トータルの感想は、下巻読了後に。 https://www.asahi.com/culture/hinotori/2021/03/28
吉子
88
「火の鳥」と言えば、手塚治虫♪手塚治虫によって書かれたあらすじから、桜庭一樹さんのオリジナル小説に。時間を巻き戻す不死鳥・火の鳥。何度も人生をやり直せる事で未来を変える事ができる・・・。「自白剤」には笑えた。時代背景が日清戦争あたりなので、歴史を調べながらの読書タイム。下巻が楽しみ🎶2022/08/29
たいぱぱ
88
手塚治虫さんが遺した、たった原稿用紙2枚と5行のあらすじから桜庭一樹さんが作り上げた作品。『火の鳥』は小学生の時母に連れていかれ映画館で観たのですが「好きじゃない」という印象しかありませんでした。この作品を読むと無限の面白い可能性を秘めている設定で手塚治虫さんの凄さに改めて気付かされました。アニメが先にあるし、桜庭さんらしさを僕は全く感じなかったので漫画か児童小説を読んでるようでした。手塚さんらしさを残したい桜庭さんのリスペクトだと思いますが、ドロドロ一樹節で描いて欲しかったと個人的には感じてます。2022/04/14
鱒子
81
図書館本 手塚治虫が残した続編の構想を元に、小説化した作品。おおぅこれはまさしく火の鳥。手塚絵が頭に浮かびます。キャラ当て書きとしては、ロックはドンピシャ!ハマっています。しかし和登さんとBJは違いすぎじゃないかなぁ。納得いかないところもあるけど、ストーリーに引き込まれます。下巻へgo!2021/04/12
keroppi
72
手塚治虫の草稿をベースに桜庭一樹がイメージを膨らましていく。読む前から期待半分、不安半分。表紙といい、登場人物のキャラクターといい、手塚治虫の世界への気分が盛り上がる。戦争中の上海から始まるが、桜蘭や火の鳥調査隊や、ぐいぐい引っ張っていく。そして、思わぬ展開へ。時の流れも「火の鳥」の大きなテーマだったなぁと、下巻への期待が膨らんでいく。2021/03/25