出版社内容情報
NHK朝の連続ドラマ小説「おちょやん」のモデルで、大阪を舞台にした映画やドラマには欠かすことのできなかったバイプレーヤー・浪花千栄子の唯一の著作である自伝的エッセイを復刊。極貧の中で幼少期を過ごし、9歳で女中奉公に出される。大阪の仕出し屋での奉公時代に芝居に出会い、その後京都へ出て、女優となった。渋谷天外と結婚するも20年後に離婚、失意のどん底から、花菱アチャコたっての希望で女優復帰、その後は小津安二郎や溝口健二の映画にも出演し、女優としてさらなる花を咲かせた。「水のように」というタイトルに託した浪花千栄子の人生観とはーー。波乱万丈という言葉でも言い尽くせないほどの半生を回想し、自らの言葉で紡ぐ。
内容説明
貧しい家に生まれ、4歳で母を亡くし、8歳で奉公へ出された浪花千栄子。過酷な日々の中で、彼女が夢中になったもの、それが芝居の世界だった。溝口健二、小津安二郎など、日本映画史に残る名作に出演し、ラジオ・テレビドラマでも活躍した、昭和の名脇役。苦労多き人生の末にたどり着いた「水のように」という心境とは―生い立ち、芸歴、ゆかりの人々…NHK連続テレビ小説『おちょやん』のモデルとなった女優・唯一の著書にして自伝。
目次
私の生きてきた道―そして、私の生き方
私の芸歴
私の住居
私をささえてくれた人々
双竹庵おりおりの記
ある日、あるとき
1 ~ 1件/全1件
- 評価
稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
89
オビに書かれているように2020年11月30日月曜日から始まるNHK朝ドラ「おちょやん」のヒロイン・竹井千代(杉咲花さん)のモデルになった人が書いた自伝書。NHKが小出しに出しているあらすじと比べて読むと、実際にあった話の方がハードであったような気がする。ドラマはあくまでドラマなので、実際に怒ったことをそのまま再現するわけではないだろうが、朝ドラファンの方はこれから半年間のお供にどうぞ。2020/11/28
ごへいもち
36
小さい頃からの過酷な生活に胸が痛む。なぜ周囲にこんな酷い人ばかりいたのだろう。そんな境遇でも芯に強いものがあったのだろう。どんなチャンスから日の当たる女優になれたのか、ワクワクしながら読んだ。2021/12/25
gtn
33
著者がなくなったとき、かつての連れ合い、渋谷天外が「あの人は、自分の芸を大切にして人にあげようとしませんでした」とコメントしたという。これはわだかまりか、それとも著者の真意が最後まで分からなかったのか。二人がビジネスパートナーでとどまっていればとつくづく思う。2021/02/06
スノーマン
29
朝ドラを見るようになって10年くらいなのですが、これほどまでに父親が救いようがない主人公は初めて。(トータスさんは大好き。つい借金大王のMV観てもた)そんな主人公のモデルのなった浪花千栄子さん。学校で学ぶことも出来ず、その場でのその境遇に耐えてきた千栄子さんが、父親の呪縛から逃れ自分のために生きていくことを決意する。かと言って、それまでの苦労もきちんと自分の中におさめ、無駄にしない。旦那さんへもグチグチと言おうと思えばいくらでも言えそうな雰囲気なのに、あえて多くを語らない潔さも良い。2021/03/06
しん君
15
NHK朝ドラ『おちょやん』杉咲花さん演じる主人公、浪花千栄子。名助演女優と称賛された彼女の自伝とエッセイ。芸についての考えが昔気質な面もあり、封建的だとか時代が違うとか言われながらも、強い信念を持って仕事に向き合う姿勢に共感を覚える。大変な苦労をして京都に家を建て、そこで果てることは幸せなこと。1965年刊行。2021/04/18