出版社内容情報
異常なほど娘に執着した母親。やがて彼女は薬物依存症に陥った。「いっそ死んでくれ」と願う娘と「産むんじゃなかった」と悔やむ母。母に隠されたコンプレックス、そして依存症家族の未来とは。医師として活躍する著者の知られざる告白。
内容説明
依存症家族は、どうやって道を切り拓いたのか?依存症に陥った母と愛されたかった娘の40年。
目次
1(わたしが医者になった理由;顔色をうかがう子;タバコの火 ほか)
2(ダルク;六つの特徴;依存症外来 ほか)
3(タブー解禁;言えなかった秘密;生きるためのドーピング ほか)
著者等紹介
おおたわ史絵[オオタワフミエ]
総合内科専門医。法務省矯正局医師。東京女子医科大学卒業。大学病院、救命救急センター、地域開業医を経て現職。刑務所受刑者の診療に携わる、数少ない日本のプリズンドクターである。ラジオ、テレビ、雑誌など各メディアでも活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
218
『どんな母親でも子供にとってはたったひとりの母なんだ。』その渦中にいる時はそうは言っていられない現実。おおたわ先生をして(いっそ死んでくれ)と願ったと書かれている。胸が痛い。心が苦しい。こんな家族が、こんな母と娘がいたのですね。。依存症のお母様とのこと…沢山の後悔と贖罪の日々に暮らして、おおたわ先生。いま現在、依存症の家族を抱えている方に届くと思います。他人事じゃない誰の胸にも届きます。読んでよかった。知って良かった。おおたわ先生、貴女の背中をそっと抱きしめたい。2021/06/06
ゆいまある
136
タイトルが凄い。中味も凄かった。テレビで見る、頭がよくて常識も持ち合わせたお医者さんというイメージの著者だが、母から激しい虐待を受けていた。その母はオピオイド系鎮痛剤の依存症。著者中学生頃からほぼシラフの時が無くなる。精神病院に入院させても治らない。辿り着いたのは竹村道夫先生の赤城高原ホスピタル。なんと、母ではなく著者と父が入院。家族としての接し方を学んだのである。そこまで追い詰められていたのか。結局母は困った人のまま生涯を閉じ、作者も母を救えなかった罪悪感に苦しんでいる。ちょっと仕事する気が出た一冊。2023/01/30
あすなろ
106
おおたわさんの家族のこと。代理ミュンヒハウゼン症候群の事も薬物依存症の事も知らぬ僕がいる。母親から死ねと言われる事も知らぬ僕がいる。壮絶な生い立ちをされ、ついこの間迄まだその呪縛に囚われておられたとは全く存じ上げませんでした。否、ご本人は呪縛と捉えられているかは定かではありませんが。読み手がぎゅっと苦しくなるが読み進めてしまう、そして、社会への提言も加わった一冊。2021/04/25
どんぐり
97
女性医師が書いたノンフィクション。「毒母」もの、アディクション関連本である。体の弱い母親に医師の父親がオピオイド鎮痛薬を処方し、母親が薬物を手離せない依存症となる。著者の生育環境はお手伝いさんがいて裕福であるが、人を褒めることがほとんどない母親のもとで顔色をうかがう子として育つ。母娘関係は常に緊張関係、父娘関係は絆が強い。父娘連合は依存症の家族ミーティングにも参加し、母親の断薬に成功するものの、母親の依存の対象は、薬物から買い物依存症へとスリップしていく。→2023/08/15
ゆみねこ
89
母と娘、何て面倒くさい関係か…。おおたわさんのお母様のことはあさイチで観て衝撃を受けこの本を手に。依存症とは本人より家族が苦しむと言う事実は良く理解出来た。昭和や平成の始めの時代には依存症の治療法が確立していなかったと言う事実にも驚き。2021/06/01