出版社内容情報
ひらめきの中に今がある。旅の日、幼い日がよみがえる。思いは世界を駆けめぐる。画家・絵本作家にして名エッセイストの著者が、独自の視点でとらえた森羅万象をつづる。軍隊に行ったころの話、森鴎外の『椋鳥通信』、数学の天才、大志の歌、津和野弁の日本国憲法、オランダのスケベニンゲン、河盛好蔵の文章、西洋からくり人形「オートマタ」、中国の明言、ロダンの作品、シチリアの老人、ピカソの絵、パリで会った女性、「本当にあった」珍談、ゴッホの生家、田舎で教師をしていたころ、美術館での囲碁教室、インスタ映え、『線路は続くよどこまでも』、年寄りの練習、中国の占い、トイレのドア、池上彰、ピサの斜塔、津和野の美人一家、生家の宿屋……書き留めたミニエッセイ317編を収録。1980年の『算私語録』以来、『散語拾語』『村の広場』『語前語後』『忙中閑語』と書き継いできた名物エッセイのシリーズ最新刊。
内容説明
アンノのつぶやき。ひらめきの中に今がある。旅の日、幼い日がよみがえる。思いは世界を駆けめぐる。
著者等紹介
安野光雅[アンノミツマサ]
1926年、島根県津和野生まれ。山口県師範学校研究科修了。芸術選奨文部大臣奨励賞、国際アルデルセン賞など国内外で多くの賞を受賞。1988年紫綬褒章、2008年、菊池寛賞、2012年文化功労者。著書多数。故郷津和野町に町立安野光雅美術館がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
64
昨年の8月に出ていた。著者のご存命中に読めたのにと、知らなかったことを少し惜しむ。『算私語録』に始まるシリーズも、これが最終巻かと思うと、すごく感慨深い。短章エッセイの切れ味が、これまで通りで楽しく、そして懐かしい。戦前・戦中・戦後の話が、ほとんど時代の証言のように読めてしまう。その時代を生きた人でなければ書けないことや領域というものが、やはりあるのだ。数学的・美術的な話がやはりおもしろい。陳建民さんのエピソードは『算私語録』にもあったなぁ、と思ったら別ヴァージョン。このシリーズを全部読みたくなってきた。2021/02/05
しゃが
55
安野光雅さんのエッセイ集を昨年の9月に読んだ、2019年までに書かれたもの。タイトル『私捨悟入』は数学の「四捨五入」からの連想で、「自我を捨て、悟りに入っている」らしかったが、本当に悟りの世界に逝ってしまわれた、94歳で。「ABCの本」「天動説の絵本」のような騙し絵の絵本では子どもたちが、欧州や国内各地をでの温かみのある風景の絵葉書は私が愉しませていただいた。読書家でもあった安野さんのNHKの書評番組での本へ思いも温かったなぁ。2021/01/17
ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
20
安野さんのエッセイ♬もう少し早くに借りて読め良かったぁ・・お亡くなりになって本当にいろんな知識、考え、知人をお持ちだったのだと。難しいことを言ってることもあったけどツッコミたくなる笑えるものもありました。森鴎外の「椋鳥通信」は傑作で借りてみようかしら。2021/03/14
あられ
12
目についたので、読んでみた。おもしろかった。が、シリーズの先行著書がいろいろあったのを知り、手を出すか、いや、出せるのか? 超短編で、あっさり読めた。「075」、とくにおもしろい。倅、よく教えてくれた。「169」の18歳と81歳、笑点のお題だったそうだが、爆笑物。気になる方は本書をどうぞ(笑) ←というもの言いがあちこちにありました。2020/09/12
CTC
10
20年8月、朝日新聞出版刊。愛読書はあるか?繰り返し繰り返し読んだ本はあるか?と問われれば、安野光雅さんの『算私語録』以外にないかもしれない。安野さんの絵も好きだが…ユーモアと優しさに溢れて、合理的で思考のヒントが得られるこのシリーズが大好きである。本書はその流れを汲む(形式は基本的に同様)企画で、『数学教室』という数学教師向けの月刊誌の19年までの連載を纏めたものだ。もとより『算私語録』などは発表の20年くらい後に読んでいたわけなので…安野さんが“インスタ映え”などほぼ同時代の話題を語る様は新鮮だった。2021/03/24