出版社内容情報
日本を代表する総合電機メーカー芝河電機は社内で粉飾決算が横行していた。買収した米国子会社の原発企業ECCの巨額損失も発覚。証券取引等監視委員会も動き出し、ついには債務超過に陥るが──。現実よりもリアルで予言的な長篇企業小説!
内容説明
日本を代表する総合電機メーカー芝河電機に勤める瀬川大輔は、本社監査部勤務を命じられた。瀬川は内部告発をきっかけに、芝河の基幹部門PCカンパニーが危機的状況であることを知る。告発した社員は瀬川に後を託して自殺をしてしまう。PCカンパニーだけではなくその他のカンパニーでも粉飾決算が横行していた事実をつかみ愕然とする瀬川。証券取引等監視委員会も密かに動き出した。やがて買収した原発企業EECの巨額損失が発覚し、芝河は経営危機に陥る―。
著者等紹介
江上剛[エガミゴウ]
1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学卒。1977年、旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。1997年、旧第一勧業銀行総会屋利益供与事件では広報部次長として混乱の収拾に尽力。2003年退社(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
105
これは、東芝のことなのかい?え?東芝はこんなことをやってたのかい?現実離れした粉飾決算に隠ぺいを、どこかで立て直せると思っていたのかい?いや、東芝ならずとも似たような企業はあるのかもしれない。明日は我が身と血の気が引くだろう。遅々として進まないページ、椅子取りゲームか?風見鶏のようなサラリーマンにさもありなんと思ったり。それが四章あたりからグイグイ進む。同期は敵なのか?疑心暗鬼になりもしたが、誇りを胸に再生への道のスタートだ。彼らと思いを同じくする社員がいる限り光はあると信じたい。ガンバレ!2017/08/01
ナミのママ
58
東芝事件を元にしたフィクション。江上さんらしさ全開という感じで一気読みでした。まさか大手企業でこんな事があるはずない、これは小説だ、と思いつつ、大手企業の不正や倒産事件は奥が深いので、もしや・・と思ってしまいます。企業を継続させるたにトップが歪み、社員は病み、そして日本全部がおかしくなっているのでしょうか。企業の粉飾決算、きっとまだまだあるのでしょうね。2017/07/25
川越読書旅団
50
粉飾に粉飾を重ね、もはや後戻り出来ない状況まで堕ちて行く大手企業の醜さを描く経済小説。若手社員の抗いがもう少し仔細に描かれれば尚読み応えがあったか。2017/09/17
Yunemo
40
フィクションと言いながら、ほぼ事実の書き記しなんでしょう。外から見ても怖いですね。あれほどの大企業が、たった一つの選択によって、その後の判断ミスもあって~というよりも、成功体験に基づく自身の保身のために~破綻の道へ。 簡単に言ってしまえば、ルールに基づかない行為により、経営そのものが成り立たなくなっていく様に、それを知らない社員があまりにも悲惨です。でもこういったこと、日常茶飯事の出来事なんでしょうかね。本作品を読み終えて、官僚機構の長期スパンの計画が、今、無くなっているんじゃないか。との想いも強まって。2017/10/08
kawa
28
今、苦境に陥っている巨大電機企業の実態に興味があったのですが、小説とは言えここまで腐っているのかと驚きです。著者も書かれているように、過去の成功体験にしがみつき、老醜をさらす経営陣を否定できない日本企業の問題点があらわに。名著「失敗の本質」で指摘されたことが繰り返されている。問題とされた件の天皇が、未だに「最高顧問」として君臨しているようだ。続編を期待したい。2017/08/02
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