内容説明
小学六年生で母が死んだ。その二年後、父は逮捕された。非行に走り、ホームレスになり、自殺未遂を繰り返した著者がたどりついた答えとは…衝撃のノンフィクション!
目次
事件
事情聴取
葬儀
父との暮らし
逮捕
非行、公園生活、自殺未遂
面会
父の話
決意
裁判
判決
前進
形見
著者等紹介
大山寛人[オオヤマヒロト]
1988年、広島県生まれ。小学6年生のときに母を亡くし、その2年後、父が自身の養父と妻(著者の母)を殺害していたことを知る。その事実を受け入れることができず、非行に走り、自殺未遂を繰り返す。2005年、父の死刑判決をきっかけに3年半ぶりの面会を果たし、少しずつ親子の絆を取り戻していく。2011年6月7日、最高裁にて父の死刑判決が確定。現在は自らの生い立ちや経験、死刑についての考え方を伝えるべく、活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
115
年がら年中、殺人が起こらない日がないほど毎日殺人は起きている。その殺人の中にも様々な理由を抱えてのやむ終えないものから、遊びの金欲しさまで色々。家族が事件を起こしたら…一気にそれは家族の監督不行き届きとして同罪のような目で見る世の中。新聞には…今日も同じような苦しみを抱えて人目を忍ぶ家族が出来上がっていく。この大山さんと父親はこれからどのように社会に向かっていくのか。まずは静かな湖面に一石投じたばかりかもしれない。同じような苦しみの人たちの声を世に広めることで救われる人も出てくるかもしれない。2014/01/07
みゃーこ
115
ものすごい葛藤を感じた。親子なら許せる。子供は親以上に親を愛しているからだ。絆を取り戻したいという筆者の必死の願いと、「怒り」を手放し許すことで解放されていくことに気付くまでに至った経緯の絶望の深さと切実さを思うといたたまれない。また、筆者が辿った特異な体験を孤独で哀れな一個人の恨みとしてだけにとどめることを選ばず社会化させる類まれな勇気には救いを感じた。2013/10/07
パフちゃん@かのん変更
84
読みやすい本ではあったが、疑問は残った。筆者の目には殺害に至るまで父と母は仲がいい夫婦と写っていた。(殺害に至るまで夫婦の間に葛藤が感じられないとは本当なのか)殺害の日、夜中に起こされて夜釣りに行く時、母親がぐったりと寝たままなのにおかしいと思わなかったのか・・・。父親にそれなりの理由があると言うが、あまりにも身勝手でとても共感は出来ない。だが、こんなにもひどい目にあわされたのに筆者が「父親として好きじゃけえ」と言うのが愛しく切ない。それは、小さい頃両親の仲が良く、愛情いっぱいに育てられたからであろう。2014/01/21
ゆみねこ
61
被害者家族でありながら、加害者家族にもなる。衝撃的なタイトルそのままの事実。12歳で母を喪い、その母を殺害した父と暮らした2年間。父を目の前で詐欺容疑で逮捕され、その後父が犯した養父と実母への殺害事実が明らかになる。本人が犯した罪ではなくても就職や恋人との交際での差別もあり、罪を犯した父への複雑な思いもある。この本を出版したり各地での講演活動も行っているとか。作者ご自身がこれからの人生を幸せに過ごせるように祈って読了。私としては死刑制度については何とも言えません。ただ、終身刑がないという現実には不満です。2014/09/06
きさらぎ
56
被害者遺族であると同時に加害者の家族でもある著者の特殊な立場から見た死刑制度とは。実の父親が母親を殺したという事実を知った時、父親の死刑が確定した時・・・著者の苦しみは想像を絶する。葛藤の末に「被害者遺族が望まない加害者の死刑も存在する」ということ、少ないながらも自分のような立場の人がいるということを知ってほしくて、実名と写真を公表しての活動に踏み切った勇気はすごいと思う。 死刑制度について、今一度、慎重に考えなくてはいけないと思った。2018/01/13