ウエストウイング

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  • サイズ B6判/ページ数 388p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022510211
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

事務職のOL・ネゴロ、20代サラリーマン・フカボリ、進学塾に通う小学生・ヒロシ。職場、将来、成績と、それぞれに思いわずらう三人が、取り壊しの噂もあるビルのデッド・スペースで、互いの顔も知らぬまま物々交換を始める。ところが、微温的で、しんどい日々から一転、信じられぬ災厄が次から次へと三人に降りかかるのだった。追いつめられ、巻き込まれてなお、最善を尽くそうとする三人の「努力」は実を結ぶのか? デビュー10年を目前に控えた著者の新たな達成。

内容説明

職場の雑事に追われる事務職のOL・ネゴロ、単調な毎日を送る平凡な20代サラリーマン・フカボリ、進学塾に通う母子家庭の小学生・ヒロシ。職場、将来、成績と、それぞれに思いわずらう三人が、取り壊しの噂もある椿ビルディング西棟の物置き場で、互いの顔も知らぬまま物々交換を始める。ビルの隙間で一息つく日々のなか、隠し部屋の三人には、次から次へと不思議な災難が降りかかる。そして彼らは、図らずも西棟最大の危機に立ち向かうことに…。

著者等紹介

津村記久子[ツムラキクコ]
1978年大阪府生まれ。2005年「マンイーター」(単行本化に際して「君は永遠にそいつらより若い」に改題)で第21回太宰治賞を受賞し、作家デビュー。2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で第30回野間文芸新人賞、2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2011年『ワーカーズ・ダイジェスト』で第28回織田作之助賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みっちゃん

168
読友さんのつぶに心惹かれて津村作品、初読み。とても良かった。古ぼけたテナントビルの物置部屋に「秘密の休憩所」を見つけた、お互い顔も知らない3人の「文通」と「物々交換」3人とも生真面目で不器用で、だからちょっぴり生き辛くて。ちょっとクセのある、でも善良で愛すべきテナントの住人たちが出くわす大小様々な艱難辛苦。最後のまさに存亡の危機!の事件にもお互いそうとも知らず「協力して」一件落着。ふう、良かった。胸にあたたかなものがじんわり、と広がっていく。2022/03/03

ちょろこ

133
程よいホッと感の一冊。この作品も良かったな。ネゴロ、ヒロシ、フカボリ。ちょっとしたもやもやを抱えている接点のない三人。この三人がどう動きどう交わっていくのか…。淡々と紡がれる世界に流れるちょっとした温もりが良い。見えない誰かへの物々交換も、書き置きも、ボート郵便も、成り行きとはいえそこに自然と相手を慮る気持ちが見え隠れしている感じが良い。消しゴムハンコを押すネゴロのシーンが好き。そこに明確な心情が描かれていなくとも、心情が伝わり入り込んでくる気がした。熱すぎずぬるすぎず、程よいホッと感に包まれる交流物語。2022/04/19

めろんラブ 

130
建物というのは無機的なものだけれど、そこで息づくひとを意識すると、途端に温もりを帯びて感じられる。本書は、老朽化の進んだ「椿ビル」内のオフィス・店舗・学習塾・・・で空間を共有する人々のやや倦んだ日常を描いている。とはいえ、そこにある閉塞感を暗澹と、ではなく、むしろ清明なイメージ。津村さん独特のニッチなところを突いてくるユーモアも健在で、ファンにはたまらない一冊なのでは。登場人物各々のちょっとした成長にあずかる椿ビルに、停滞しているひとの背中をそっと押す神様の姿をみたような気がして、ほんのり温かい読後感。2015/08/17

なゆ

119
取り壊しが噂されてる古いけど趣きある雑居ビル、椿ビルディング。そこで働いたり通ってくる人々の人間模様、そしてビル存続の行方。四階の隅の物置場をサボリスペースにしている、お互い顔も知らない3人のゆる~い交流が面白い。幽霊さわぎの顛末は、ありそうで笑える。『ワーカーズ・ダイジェスト』『とにかくうちに帰ります』『八番筋カウンシル』などを思い浮かべるところもあって、総集編という感じにも読めた。ラスト、重機動くな!ですね。やっぱり津村さん、良いです。2012/12/04

あつひめ

106
平凡な中に居ても、自分の中で穏やかに過ごすことができないのが世の常。自分だけの居場所を密かに見つけた時の高揚感。同じような感覚でその場を訪れる人がいると知った時の心の揺れ。今までに出会ったことのない展開だった。が、やはり中だるみのように読むペースが遅れてしまった。サラリーマン、OL、小学生。普通で考えたら接点が生まれなさそうな関係が面白い。少し、盛り込み過ぎたかな?という気もしないでもないが、楽しませてはもらった。2013/04/14

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