出版社内容情報
紀行作家の父から、マルキ・ド・サドをもじって名づけられた鳴木戸定。書籍編集者の定は、ブサイクで身なりに無関心、感情を表さずに人付き合いも機械的にこなす。一方で、彼女は、旅先でワニに食べられて死んだ父親の死肉を食べた女として、世間に名を知られていた。ふくわらいが唯一の趣味である彼女は、猪木になりきれなかったロートルプロレスラーのエッセイを担当することになってから、人との距離を少しずつ縮めていく。「作品を書かせたかったら、今すぐ雨を降らせろ!(またはやませろ!)」という作家の無茶な要望に応え、街でナンパされた盲目のイタリア人(と日本人のハーフ)の男性に処女を捧げる定の、何物にも汚されない真っ直ぐな姿を描くエンタメ小説の傑作。
内容説明
マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。25歳。唯一の趣味は、暗闇でのひとり遊び―。
著者等紹介
西加奈子[ニシカナコ]
1977年テヘラン生まれ。関西大学法学部卒業。2004年『あおい』でデビュー。05年『さくら』が25万部を越えるベストセラーになる。07年『通天閣』で織田作之助賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
416
西さんの作品はこれで何冊目かだけれど、ほんとハズレがない。読み終わるのがもったいない小説、またみっけ。なんとなく私の中で、主人公・定ちゃんは、西さんご本人なんだよな。あったかくて、真っ直ぐすぎて(よって生きづらい)、生き方にブレなし、というような。出てくる人たち、みんなあったかい。ラスト私的には、定ちゃんは守口さんとカップルになって欲しかったんだけど...しゃあないな。明日からまた頑張ろう!という勇気も貰えるオマケ付き!!2015/05/25
にいにい
414
久々の西加奈子さん。これは凄い作品だ。人が生きることってどんなこと?を突き詰めている。定をはじめキャラが良い。世界各地の生きることと、定の生活が繋がりながら進んでいく。西さんは、人間が好きなんだ。ちゃんと主体的に生きてもらいたいんだ。普通、綺麗事を組みなおして、本当のあり方を見つけ出すその鋭い目線が物語を紡ぎ出す。グロな表現もあり、途中で受け付けれない人も居るかもしれないけど最後までたどり着けば納得の一冊。ゲシュタルト崩壊しても、意味のあるものは意味あるところに落ち着くじゃないかな。読んで良かった一冊。2014/06/21
ちぃ~
395
いい~☆⌒(*^‐゚)b!すっご~く。何とも不思議な空気感!うまく言葉で言い表せないけど、ちょっと変わった定が不器用な生き方を常識とは無縁な登場人物達と過ごす。西さんの空気感だ~!。「きりこについて」と同質に感じられる「自分の存在を受け入れる」生き様の潔さ。読んで良かった(゚ー☆)(。_★)♪2015/08/01
kishikan
329
「羽生でもいいよ。ピカソでもいいし、マラドーナだっていい。誰だって思うんだ。そうなりたい、なれるって。でも気付くんだ。なれない。天才は生まれたときから天才だし、ずっと努力するからどんどん差が開いちまうんだ。・・ずっと猪木さんみたいになりたかった。でもなれなかった。天才にはどうしたってなれねぇ。でもおいらには、これしかない。・・・だっておいらはプロレスが好きなんだ。生きているんだから、おいらは好きなことをする。生きるのが終わるまで、好きなことをする。」直木賞候補作?個人的には芥川賞って思うけど。素晴らしい。2013/03/22
hiro
322
西作品はエッセイを含めて4作品目。第148回直木賞の候補となった作品なので、この作品を読むことにした。西作品にも慣れたためか、面白くて一日で読み切った。まず、マルキ・ド・サドをもじった鳴木戸定という主人公の名前からして西さんらしい作品だと思った。そして読み進むと、先に読んだ『ふる』にもでてきた女性器や性的表現、『きいろいゾウ』にもでてきた刺青、そして不思議な世界感など、まさしく西作品だった。また、主人公の職業が編集者だということもあり、お仕事小説としても読んだ。しかし、あのラストの意味がわからなかった。2013/07/27