七夜物語〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 449p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022509598
  • NDC分類 K913
  • Cコード C0093

出版社内容情報

【文学/日本文学小説】小学校4年生のさよは、母親と二人暮らし。ある日、町の図書館で『七夜物語』という不思議な本にふれ、同級生の仄田くんと共に、物語の世界へと迷い込んでいく。七つの夜をくぐりぬけた二人の冒険の行く先は? 著者初の長編ファンタジー。

内容説明

小学校四年生のさよは、母さんと二人暮らし。ある日、図書館で出会った『七夜物語』というふしぎな本にみちびかれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷いこんでゆく。大ねずみのグリクレル、甘い眠り、若かりし父母、ミエル…七つの夜をくぐりぬける二人の冒険の行く先は。

著者等紹介

川上弘美[カワカミヒロミ]
1958年東京都生まれ。1994年「神様」で第一回パスカル短篇文学新人賞、1996年「蛇を踏む」で第百十五回芥川賞、1999年『神様』で第九回紫式部文学賞、第九回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年『溺レル』で第十一回伊藤整文学賞、第三十九回女流文学賞、2001年『センセイの鞄』で第三十七回谷崎潤一郎賞、2007年『真鶴』で第五十七回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

278
川上弘美とは別人のような文体だ。署名がなければ私には見破れないだろう。物語の構想もまた、いつものように柔らかで捉えどころのないもの(これはいい意味で)ではなく、ガッチリと構築されている。さよと鷹彦の成長物語なのだが、2人が単に困難に立ち向かうという単純な構造をとることはない。まだ上巻が終わった段階だが、物語の主題はどうやら心の深層にある影を呼び出し、これと対決し統合へと向かうというもののようだ。物語の全体が帯びているほの暗い抒情性には、川上弘美の世界がほの見えるかもしれない。ワクワク感を持って下巻へ。2012/12/29

kishikan

208
本の表紙からは、これって童話?児童書?って思わせぶりな感じがするけど、いえいえ、大の大人が読んでも十分に引き込まれます。町の図書館で「七夜物語」という不思議な本に出会った、さよちゃん。母子家庭のさよちゃんは、同級生で父子家庭の仄田君とともにその「七夜物語」の世界に入り込んでいく。それはそれは不思議な異次元の夜の世界。いろんな人や生き物たちと出会い、いろんな体験をし、いろんな思いに駆られる。読者の僕たちもきっと小さな頃に立ち返る冒険をするだろう。もう下巻を読むのが楽しみで仕方がない。2012/11/20

ヒロ@いつも心に太陽を!

207
『七夜物語』〜ふしぎな本に導かれてその世界に入ってしまうという設定に、エンデの『はてしない物語』を思い出す。(しかも、気づけばあの本に出会ったのはさよと仄田くんと同じ歳!)子供達の日常が、さよの気持ちが丁寧に描かれており「ああ、小学生のときはこんなだったか」と10歳だった自分を思い出しながら私自身が七夜物語にひきこまれていく。大人になったらもう戻れない、夜の世界の冒険。二人じゃないとダメな理由は何?さよと仄田くんの冒険の先には何が待ってるの?下巻を読むのが、楽しみ。2012/11/25

ひめありす@灯れ松明の火

117
今日は私の星廻り的には、とっても良い出会いがある日なのだとか。それに違わず、とっても素敵な物語との出会いがありました。大好きな酒井駒子さんの挿絵。祖父江さんの装丁。箔押しのキラキラ文字。そして川上さんのファンタジックな物語。全ての夢見る子どもたちと、そして子どもの心を持った大人たちへと贈られる、七つの夜の物語。黄昏と口笛。給食とジャイアン。お父さんと焼きそば。ピンクのワンピースとうな重。朝鮮人参とずる休み。日常と非日常の間にある鍵が、まだ曖昧だったあの日。だけど、ちゃんと考えた者だけが渡れる、長い夜の物語2012/08/28

ちはや@灯れ松明の火

114
朝の光が夢を溶かしていくように、夜の闇がいつもの景色を包み隠していく。夕暮れのカーテンの向こうに広がる夜の国、図書館の奥の古びた本が誘う冒険。だぶだぶのエプロンをまとえば試験が始まる。ねずみの台所のお手伝い、底のない眠りの淵、押さえつけていた劣等感、両親になる前の父と母。少しずつ浮かび上がる、謎だらけの世界の輪郭や気づかずにいた心の中。自分の弱さや汚さをまっすぐに見つめられるのも、つなぎあった手がそばにあるから。ただのちっぽけな子供たちじゃなく、ひとりとひとりの人間として、ふたり、永く儚い夜を越えていく。2012/07/19

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