内容説明
地方都市と東京ベイエリア、昭和と平成21年とが交錯する二つの家族、二つの庭のひと夏の物語。野ばら・浜辺の歌・カチューシャ・インターナショナル・霧笛が俺を呼んでいる…我らが祖母の歌うとき、浮かび上がる時間、歴史、そして人生。『チューバはうたう』で太宰治賞受賞の新進作家による最新作。
著者等紹介
瀬川深[セガワシン]
1974年、岩手県盛岡市生まれ。栃木県立宇都宮高校に在学していたころから小説を書き始める。東京医科歯科大学医学部卒業。同大学大学院博士課程修了。小児科医・医学博士。現在は小児の先天異常疾患の遺伝学的研究を行っている。2007年、『チューバはうたう―mit Tuba』(筑摩書房、2008)にて第23回太宰治賞受賞。2009年3月、長編小説『ミサキラヂオ』(早川書房)を刊行。趣味は旅行。これまでに50カ国以上を旅した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
39
認知症も、このくらいの段階が一番幸せなのかもしれない。 もしや・・と自分で自分の事が心配になり。不安になるより、ホァンと霞がかかったような。 清潔な街は好きだけど、ここまで管理されていると息苦しい。 お年寄りが子供に問いかけただけで不審者情報となるとは。 ミユヅちゃんとリイトくんが同じ部屋って? 他には部屋が無いわけではないのに。 この次男家族の生活には突っ込みどころ満載でした。 お婆さんの立ち居振る舞い、言葉遣いの美しさが素敵でした。2015/03/25
ふゆ
5
私事で恐縮ですが、先だって長らく一緒に暮らした祖母を亡くしまして。年齢に不足なく準備期間もたくさんあったし、諸々は穏やかに恙無く済みました。そうした時、支えてくれる本があってよかった。本は私を救います。本が私にあってよかった。その中でも瀬川深が描く祖母の姿と孫の姿が私のような人間には重なって、ひさしぶりに読み返しました。辛かったり幸せだったり、思い出だったり。家族だったり他人だったり。色々ありますが、お互いの愛しい気持ち、この本に書いてあります。混乱した人間の人間たらしめる愛情について。2023/01/21
sena
5
なんだか読みにくいと思いながら読み進める。そのうちに、この切れ目なくあちこちに飛ぶ文章と、祖母の頭の中が重なっていく。幸せってなんだろうと、ふと思う2016/06/06
なゆ
4
セキュリティ万全・完全管理の街に住む、次男一家の家に滞在したひと夏。自然あふれる田舎から来た祖母は戸惑いながらも、孫のミユヅと歌を歌い、思い出に浸りながら日々を過ごす。かなりの物忘れはあるけど、昔の記憶は溢れんばかりに蘇る。自動ロックに閉め出されたり、キャッシュレスの店で買い物できなかったり、息子や嫁の秘密を思いがけず知ってしまったり…。いろいろあるけど、良くも悪くもその事をはっきり捉えることができないのは、ある意味幸せなことかもしれない。頭の中が浮遊しているような、おばあちゃんの脳内的なお話。2011/12/09
tom
4
瀬川深の3作目。私の注目の作家。変わらずの瀬川節。ずるずると言葉が流れ続けて,その言葉が心地よい。今度は70いくつかのおばあさんのモノローグで物語が続く。途中の病院での診察で,長谷川式10何点という得点だったものだから,自分のことはどうにかできるというレベルの主人公。夏休みが終わって,郷里富山の高岡に帰っていくのだけど,独り暮らし,大丈夫なのかしら。「私の声はミユヅちゃんの声を支える。ミユヅちゃんの声は私の声に調和して響きあう。老いた声,若い声,二つの声が一つの響きを生み出す」・・・いいなあ,瀬川深2011/02/19




