内容説明
現場で「敗戦」を見つめた毎日新聞・藤田信勝から、天声人語の名コラムニスト・深代惇郎まで、今は亡き24人を列伝でつなぎ、人物を通して、新聞が輝いていた時代と、記者たちの矜持を描き出す。新証言も多数。
目次
藤田信勝―書くために記者になったんだよ
守山義雄―おもろい、それがニュースや
斎藤信也―抜き身の「人物天気図」
飯沢匡―諧謔と風刺の『アサヒグラフ』編集長
平正一―事件は事件に聞け
矢田喜美雄―下山事件他殺説
門田勲―記者のなかの記者
後藤基夫―裏の裏まで知る政治記者
笠信太郎―理想主義掲げた論説の鬼
辻本芳雄―生まれついての社会部デスク
細川忠雄―「場末」住まいの寸評子
疋田桂一郎―鉛筆一本の渡世職人
詩人たち(井上靖・中桐雅夫・北村太郎・犬塚堯・安西均・谷川雁)―もとはといえば新聞記者の
信夫韓一郎―戦後朝日を背負う
田代喜久雄―果断に富む社会部長
松本得三―本当の被害者は誰か
辻豊―特攻精神で走る
吉野正弘―同心円を描かない
深代惇郎―珠玉の天声人語
著者等紹介
河谷史夫[カワタニフミオ]
1945年生まれ。早稲田大学第一政治経済学部卒業。70年朝日新聞に入り、社会部、社会部デスク、企画報道室編集委員、編集局特別編集委員、論説委員。92年9月から二年四カ月、コラム「きょう」を担当。2003年から五年間、コラム「素粒子」を担当。94年から七年間、書評委員を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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東京には空がないというけれど・・・
1
3箇所ばかり、涙した。新聞記者という、時代を切り取る仕事の醍醐味を見た気がする。特に、虚無感が漂っているのが記者の特徴だと思った。さみしいけれども、懸命に生きた姿が、この本には描かれている。ここに描かれていないけれども、新聞記者という仕事をこよなく愛して、名も無く散っていたった多くの新聞記者のことを、思う。2010/04/09
yuichi0613
1
24人もの新聞記者の評伝。連載は朝日新聞紙面。記者は書く者であって滅多に書かれないので、イメージがつきにくいところがある。読後、やはり人間であるということ、そして人間らしい人、さらには人間らしさに敏感である記者が、いい記者である条件なのかもしれないと思った。2009/09/10