例外社会―神的暴力と階級/文化/群衆

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  • サイズ B6判/ページ数 705p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022505484
  • NDC分類 304
  • Cコード C0095

内容説明

グローバリズムは何をもたらしたのか?非正規雇用者とワーキングプアの激増、サブカルチャー的な知性の台頭、反テロ戦争と世界内戦―。「ゆたかな社会」が終焉したとき、人間は群衆に変貌し、未曾有の例外状態が到来する!21世紀、日本社会の現状を世界史的なレベルから把握し、新たな社会思想の潮流を展望する、著者渾身の本格長篇評論。

目次

社会化する例外状態
1 階級論―例外社会と存在論的不安(中流崩壊と格差化/貧困化;身分=地位(シユタント)と階級の露出
社会的再生産と新しい貧困)
2 文化論―教養主義とサブカルチャー(教養と二〇世紀ラディカリズム;行動的ニヒリズムと決断主義;否定神学と九〇年代の切断)
3 群集論―自生的生権力と神的暴力(千年王国主義と再帰的動物;大審問官とアーキテクチャ;例外社会と複岐する実存)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じょに

4
人文学系の知に埋め尽くされた怒濤の700ページ。この4200円は出すべき。現在を「例外状態を構造化し、国家それ自体が例外状態に変質した」例外社会だと捉え、生-権力は「死なせるでも生かすでもなくて、生き残らせる」やり方をとり、人間を「死の中へ廃棄」するへと至る。ここに至るまでの世界史的な経緯を、シュミットとフーコーと共にさらりと記述してゆく様が圧巻。いかに自分の視野が中途半端に狭かったことか。立ち位置ではなく図表の提示。全共闘からのちゃんと読むべきラブレター。2009/03/21

急性人間病

3
神(話)的暴力というもののダイナミズムに、その装置まみれの土壌から生まれ死にゆくことの避けがたさに、「暴力は“例外”なく悪だ!」と叫びたがる舌が凍り付く。千年王国主義による、次の“バスティーユへ!”を叫べるかさもなくば足を踏み外して堕落するかの綱渡りを、冷静に観れる気はまだしない。“複存”によって開かれる新たな“犠牲”の扉をうまく想像することも未だ難しい。だが「物語のウロボロス」に開花した“二元論=隠蔽された三元論”思考のひとつの到達点として、ここに提示される議論の綾の甘美さには、どうにも抗いきれない。2025/01/21

hoshi

2
日本社会の経済・社会的承認の面での分断を「内戦」と捉え、シュミットなどの政治哲学に接続する部分が非常に勉強になった。 テロという文脈では、「法の外に出た人間」は「ホッブズの言説の中に位置付けられない」という論者(上野修)もいるが、それよりも笠井の「リヴァイアサン対ビヒモス」という整理の方が、一気に見通しを良くしている。ホッブズの理論の現代的捉え直しとしても面白かった。2022/08/04

nog_m

2
連載だからある程度しょうがないんだろうけど、論が前後にわたって展開し過ぎておいてけぼり。あと、前提知識を必要とするパートが多くてそこら辺も結構骨。ただ、(繰り返し読んで)(本文から派生して現実世界での事柄と絡めて考えていけば)内容も面白く感じる。いろいろ疲れるけど。何度も読み返して他の既読者と一緒に議論したことでなんとなく分かったかな、という感じ。2011/10/26

抹茶ケーキ

1
シュミットの議論を基に「例外社会」の概念を使って現代日本を記述。書かれていることは大体社会科学でよく言われていることだけど、それをここまでまとめてるのはすごいと思う。この手の議論を読んでいつも思うけど、例外は原則がないといけないので、その意味で原則を措定できた近代的な思考形式にあまりに依存してるんじゃないかと思う。2018/01/14

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