内容説明
2000年8月31日、性犯罪被害にあった。生まれてから24年間、住み慣れた街で。その日から変わってしまった身体・考え方やものの見方、家族や恋人・友人との関係…。被害者にしか語れないリアリティー。
目次
事件
日常生活
二次被害
ゼロ地点
放熱
合流
それから
最後に伝えたいこと
著者等紹介
小林美佳[コバヤシミカ]
1975年生まれ。東京都出身。大学卒業後、OLを経て司法書士事務所、弁護士会に就職。司法書士事務所に勤務していた2000年8月、性犯罪事件に巻き込まれる。その経験を踏まえ、性犯罪被害者自助グループ運営に携わるなど、犯罪被害者支援を考える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
101
2000年夏に性犯罪の被害に遭った著者の体験記。犯人は未だ不明。本書のテーマは被害者とその周囲に横たわる埋めがたい「溝」だ。理不尽な罪悪感と屈辱を抱えた精神や周囲の偏見がいかに視野を歪めて亀裂を生み出すのか。育ちにはじまり元カレ依存、反動でした結婚や性生活の苦痛などどれも赤裸々に綴られており、著者の勇気と芯の強さは並ではない。人間関係が空回りする中、ネット友達の存在は大きな支えになったことだろう。大切なことは「事実を受け止める」こと、「伝えること」、何より「周囲の理解」。そこから得られるものはきっとある。2021/12/19
kazu@十五夜読書会
47
この本をここ読書メーターで見かけ、県立図書館経由で読んだ理由。我が家は上の子が二人いわゆるお年頃28歳と25歳の女の子で、幸いなことに性犯罪被害には巻き込まれず育ちました。二人が産まれて幼い時に今住んでいる所に住居を決める時。家内と一番気配った事はこのような犯罪に巻き込まれないような立地を話し合った記憶が有ります。父親の立場から読むと二次三次の被害・噂を恐れずこの本を発行した。被害著者の勇気に敬意を表したい。 2013/01/14
takaC
42
2冊目を先に読んでいたので内容に対しての衝撃は小さかった。自分は自分にできることを心がけます。2012/10/21
くぅ
32
図書館で一気読み。解ってほしいんじゃなくて、分かろうとしてほしかったという思いが印象に残るが、同時に難しいなと思う。『同情は買いたくない。寂しいことでも辛いことでもない。消す必要も忘れる必要もない。乗り越える必要もない。』と語る小林さん。冷静に言えるまでを知るとあまりに途方もなく感じた。淡々と語られるから淡々と読むけれど、唯一「俺も襲われたい」と願ったシンちゃんの気持ちに泣きそうになった。彼も人だからね、言ってはダメな発言もあった気がするけど…それでもシンちゃんの存在がただただ有難かった。2015/02/27
ケイ
30
性犯罪に合うって言うのは、他の犯罪にあうのとはまた全然違うのかもしれない。そんなにずっと吐き続けるくらい、辛く苦しいことなのか。目に見えるところに傷がないから、他人には理解してもらいにくいだろうし。ご両親も色々考え方はあるのだろうが、被害にあった娘を殴ったり勘当したりが、最も許せなかった。ご両親から、生きていてくれて良かった、生きていてくれるだけでいいんだ、みたいな接し方をされていれば、その後の彼女の苦しみ方ももっと違っていたのでは。2012/11/27