出版社内容情報
歴史的に農業は人間の生命を支えてきた。しかし、気候変動、TPP等の国際協定、ウクライナ戦争をきっかけとする穀物高騰、農家の減少などにより、日本の農業は変容を迫られている。フード・セキュリティの確保が深刻な課題となるなか、日本の食と農はどこに向かうのか。農業経済学の第一人者による名著を文庫化。
【目次】
序 章 食料・農業と経済学
1 経済学の有効域
2 選択のない世界
3 繰り返される農産物貿易論争
4 経済発展と農業・食料
5 国際化とグローバル化
6 先人の知恵に学ぶ
補論 比較優位と貿易の利益
第1章 フード・セキュリティ――途上国と先進国
1 八億六八〇〇万の栄養不足人口
2 南アジアとサハラ砂漠以南のアフリカに集中
3 食料と人口――マルサスの命題
4 潮目が変わった世界の食料
5 ふたつのフード・セキュリティ
補論 αゾーンとβゾーン
第2章 経済発展と農業
1 大開発の時代
2 離陸を支えた農業
3 小作争議から農地改革へ
4 高度成長・安定成長と農業
5 市場経済と農業
第3章 経済成長と食生活
1 ペティ=クラークの法則
2 食生活の変化
3 低下した食料自給率
4 自給率と自給力
5 厚みを増した食品産業
第4章 農業の成長と技術進歩
1 経済成長の源泉
2 BC技術とM技術
3 研究開発の方向転換
4 経済環境と技術選択
5 農業の技術と規模
補論 植物工場と農業
第5章 変わる農業、変わらぬ農業
1 農業経営の規模
2 環境と資源の時代
3 条件不利地域
4 コミュニティの共同行動
補論 悲劇を克服するコモンズ
終 章 開かれた議論のために
1 成長経済から成熟社会へ
2 雇用機会としての農業
3 食料輸入国の立場から
4 他者への配慮
注
文献一覧
あとがき
補 章 食と農に未来はあるか
1 干支一巡の来し方を振り返る
2 現実感が高まるフード・セキュリティ対応
3 変化した地球環境に向き合う農業の技術
4 情報通信技術の活用から生まれる新潮流
5 正念場を迎えた日本農業の人材
6 むすびに代えて
岩波現代文庫版あとがき



