出版社内容情報
野田 正彰[ノダ マサアキ]
著・文・その他
内容説明
戦場で残虐行為を行った兵士たちの心情を精神病理学者が丹念に聞き取る。なぜそのような行為を行ったのか、その時に何を感じたのか、その後、自らの行為とどのように向き合ってきたのか…。集団に順応することを求められる社会において、抑圧された「個」の感情を私たちはいかにして回復するのだろうか。
目次
罪の意識を抑圧してきた文化
集団への埋没
道ならぬ道
心を病む将兵たち
戦犯処理
坦白、認罪
悲しむ心
過剰適応
服従への逃避
無邪気な悪人
洗脳を生きる
“させられた”ではなく
功名心
脱洗脳
良識
父の戦争
引き継がれる歪み
感情を取り戻す
著者等紹介
野田正彰[ノダマサアキ]
1944年、高知県出身、北海道大学医学部卒業。長浜赤十字病院精神科部長、神戸市外国語大学教授、ウィーン大学招聘教授、京都女子大学教授、関西学院大学教授など歴任。精神病理学者、作家。文化変容、戦争と革命のなかで生きる人間を精神医学者として考察してきた。著書『コンピュータ新人類の研究』(文藝春秋、大宅壮一ノンフィクション賞)、『喪の途上にて』(講談社ノンフィクション賞)他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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1
ずーっと読むのが辛かった。こんなしんどい本、初めてやった。2023/02/24
CBF
1
(★★★★☆) 戦場で残虐行為を行った兵士たちの心情を精神病理学者が丹念に聞き取る。集団に順応することを求められる社会において、抑圧された「個」の感情を私たちはいかにして回復するのだろうかー。 原爆被害など、日本の戦争をほぼ被害の側面からしか自分が学んでいなかったことを痛感させられた。また、戦争の傷が個人を超えて社会全体や次世代へ影響を及ぼすということを読み、自分含め今も無関係とは言えないんだなと感じた。 『私が罪の意識を問うのは、他者の悲しみにやさしい文化を創らなければ、平和はないと考えるからである。』2022/11/02
せきも
0
戦争時の謝罪はもう終わったとする日本と謝罪を要求する国の意見の相違はここにもあるかもしれないですね。事実が曖昧にされている事で戦後世代はどう考えて良いのか分からない状況になっているような気がします。2024/08/04
はやみん
0
日中戦争、太平洋戦争に従軍した人たちが行った残虐行為の告白には精神を削られるが、本書の本題は行為そのものではなく、それを行い得る精神構造と、戦後をそれを罪と認識するにいたる過程の分析にある。そして、現代に生きる私たちが直接的な加害者ではないとしても、罪を罪と認識できること、それのできる感情を持つことの重要性を強調し、一方でいかに現代日本が意図的、非意図的にせよ、その感情の希薄な社会であるかを指摘している。2023/06/22