内容説明
近代アメリカ医学の開拓者ウィリアム・オスラー(一八四九‐一九一九)は、医学生を講義室より患者のいる病室で教育し、また医のヒューマニズムを実践したことでも有名である。その医学教育や臨床に対する姿勢から医の精神と人生観を学んだ若き医学徒の筆者が一気に書き上げた伝記を、初版から六六年を経て文庫版で復刊。医学の根幹となる「人間愛」を大切にした一人の医師の生涯の軌跡をたどる。
目次
第1章 カナダ時代(一八四九‐一八八四)(生い立ち;トリニティー大学入学と転向の決心;トロント医学校とボヴェル先生 ほか)
第2章 合衆国時代(一八八四‐一九〇五)(ペンシルヴァニア大学;マラリアの研究;肺炎・腸チフス・神経疾患への関心 ほか)
第3章 英国時代(一九〇五‐一九一九)(オックスフォードの生活;ドイツ・フランス・イタリアの旅;ラムレイ講演その他 ほか)
著者等紹介
日野原重明[ヒノハラシゲアキ]
1911年山口県生まれ。京都帝国大学医学部卒業。現在、一般財団法人聖路加国際メディカルセンター理事長、聖路加国際大学名誉学長、一般財団法人ライフ・プランニング・センター理事長、公益財団法人聖ルカ・ライフサイエンス研究所理事長、特定非営利活動法人日本オスラー協会理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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s-kozy
48
日野原重明さんの著書であるが、初版(中央医学社)は1948(昭和23)年。つまりまだ若い医学者だった日野原さんによる著書ということになる。その後、1991(平成3)年に岩波書店から復刻版が刊行、本書は2014(平成26)年に文庫版で復刊したものになる。これは近代アメリカ医学の開拓者ウィリアム・オスラーの伝記で医のヒューマニズムを生涯を通して実践したこと、その後の日野原さんのお仕事、人生に大きな影響を与えたことがよく分かり、感動的。途上国の公衆衛生に興味を持つ娘に勧めたい一冊だ。2017/09/19
さゆう
2
医学に終生をかけた博士の一人息子は、戦死した。医学の領分では戦争の予防と根絶は不可能である。人間の圧倒的暴力を本書に垣間見た。2024/05/15
Hitoshi
1
医者としての心構え、生き方。心が引き締まる思いがしました。2017/06/30
コッツ
1
日本オスラー協会に興味あり!2014/11/21
mun
0
正直オスラーのことを臨床の人としか思ってなかったので、研究や教育にここまで熱心な人だと思わなかった。なぜこの人は人がやってこなかったことを、さも当たり前かのようにできるのか。本質的ではないけど、英語が母語だとアメリカ、カナダ、イギリスを故郷を離れるくらいの気持ちで移動できるのかと思った。平静の心を読むことにした。2024/06/13