内容説明
金正日体制はどのように形成され、現在に至っているのか。金正恩への権力移行はいかに進むのか。本書は金日成時代から現在に至るまでの北朝鮮指導部の動向を徹底的に解明し、謎に満ちた隣国の政治と社会の実像に迫る。歴史的な分析も踏まえて、現状を考察する本書は、私たちの北朝鮮認識をも問い直す。長年、朝鮮半島や中国等で取材を続けてきた著者が書き下ろした渾身の一冊。
目次
後継者デビュー
金正恩後継の推戴勢力
金正恩後継体制づくりのスタート
金日成時代の指導部の変遷
金正日時代の指導部の変遷
金日成‐金正日父子の統治スタイル
金正日総書記の側近たち
金ロイヤルファミリー
軍のクーデターはあり得るのか
金正恩後継体制の課題
金正恩後継をとりまく情勢
「強盛大国の門」の前で
北朝鮮の体制メカニズムと民衆
著者等紹介
平井久志[ヒライヒサシ]
1952年、香川県生まれ。1975年、共同通信社入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員などを経て、現在、編集委員兼論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nnpusnsn1945
42
久々に面白い本を読んだ。北朝鮮という国かどういった体制であるかは知らない人々が大部分だろう。私は随分前に北朝鮮旅行の本を読んで以来マニアになった(断っておくが、収容所についての本も読んだことがあるし、学校で拉致について学んでいる)が、政治についてちゃんと読んだことはなかった。本書は元が10年前の本(初版は2011年だが、2刷で金正日の死去に言及)ではあるものの、政・経・軍について解説した内容としては見劣りしない。もちろん本が出てから情勢はどんどん変わっていったが、基本は押さえられる。2021/06/26
壱萬参仟縁
9
第10章の正恩体制の課題~取り急ぎ読むしかない。正日は父日成の主体農業という農政は誤りと知りつつも、否定できぬジレンマ(314ページ)。神話や偶像化で、庶民は騙される。昨今のミサイル発射する、しない、という国際社会への揺さぶり。映像で見る限り、整然とロボットと貸した兵士の統率は気味が悪い。日本の福一原発は核問題でどうなるか、と不安の同心円が渦巻いていく。国名に民主主義とある。同じ価値はなんとか学習していくしかないが、武力では対話は困難。2013/04/13
浅香山三郎
8
2011年に第一刷、翌年に第二刷が出てゐるが、この間、11年12月に金正日が亡くなるといふ出来事を受けての改稿・追記かなされてゐる。北朝鮮の党・国家・軍のバランス(党による国家・軍のコントロール)や、金正日を支へた幹部らの横顔、金王朝の系譜と後継者問題などを詳述する。独裁者の独裁者であるがゆへの孤独や無謬性(の演出)など、オモテに出た情報を駆使しながら、そのウラにある意図や意味付けの検討を堅実に重ねた労作。2022/02/05
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