内容説明
斎藤隆夫の名は、二・二六事件当時の軍部の独裁を批判した一九三六年の「粛軍演説」と、四〇年の「支那事変処理に関する質問演説」で政府に厳しく迫り衆議院議員を除名されたことによって知られている。本書は彼の思想の形成過程、その精神や政治哲学、二つの演説の内実を子細に検討した本格的評伝である。略年譜、人名索引を付す。
目次
序章 斎藤隆夫と現代
第1章 精神のトポス
第2章 政治的な理性
第3章 政党政治家として
第4章 政党の自滅に抗して
第5章 孤立するパトリオット
終章 大いなる影
著者等紹介
松本健一[マツモトケンイチ]
1946年群馬県に生まれる。東京大学経済学部卒業。麗澤大学教授。評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sasha
3
う~ん、微妙だな。著者の主張、自分語り、北一輝と絡めた話が私には相当に邪魔だった。有名な粛軍演説も反軍演説も途中で著者の解説が挟まれているのでぶつ切りになっている。それでも日本が戦争に突き進む時代にあれだけの演説を出来た政治家がいたんだよね。安倍晋三の父方の祖父・安倍寛同様に、翼賛選挙の時に非推薦で当選した稀有な政治家。近衛文麿の戦争責任を問う演説は見事。公爵様、確かに知性や教養はあったけれど政治家としての実力はなかった。現代の二世・三世の政治家には知性も教養もないけどね。2017/07/08
metaller
2
政治家・斉藤隆夫の生涯を追った書。2・26事件の後にした粛軍演説は有名。その後、日中戦争の際の反軍演説も大拍手のうちに終えたが、その数日後、除名となる。孤高のパトリオットであり、戦前には稀有なリアリストだった。 ナショナリズムとパトリシズムとは違う、とは筑紫哲也さんも言っていたが、斉藤は全くのパトリオットだった。 そして、政党政治の完遂を目指す首尾一貫した人だった。政党は民の声の代表でなければならない、という信念。演説の中からひしひしと伝わってくる。2013/10/18
Rose finch
1
日本憲政史に名を残す希代の政治家、斎藤隆夫の伝記。以前から注目していた斎藤隆夫について知ることができ満足。ただ、真に迫りきれておらず、中身は若干軽薄な印象。2014/12/24
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