出版社内容情報
『極光のかげに』は偉大な政治家スターリンをけがすものだ-日本共産党幹部から激しく罵倒された著者は,孤独な長く暗い戦後を歩みはじめた.ソ連とは,社会主義とは何だったのか.誠実なヒューマニストの痛恨の回想.
内容説明
あの本は偉大な政治家スターリンをけがすものだ。こんどだけは見のがしてやるが―最初の著書『極光のかげに』を日本共産党最高幹部から罵倒されたシベリア抑留帰りの著者は、孤独な長く暗い戦後を歩みはじめた。ソ連とは、社会主義とは、スターリンとは何だったのか。戦後史を画する人びとと事件の交錯をえがく誠実なヒューマニストの痛恨の回想。
目次
いけにえよ、記憶を語れ
1945年の夏
「捕虜だ!捕虜だ!」
集中営のロシア
もうひとつのロシア
アントン・チェーホフとジョージ・ケナン
日本人俘虜のための新聞
帰還
菅季治の死
務台理作と中野重治
朝鮮戦争のさなかで
福原麟太郎と宮本百合子
おだやかな町―静岡で
スターリンの「言語学」論文
中国の世界語者たち
その後の中野重治
七三一部隊と「狼!狼!狼!」
ぬかるみの道はつづく
著者等紹介
高杉一郎[タカスギイチロウ]
1908年静岡県生まれ。東京文理科大学英文科卒。改造社編集部を経て、1944年応召、ハルビンで敗戦を迎え、四年間シベリアに抑留。静岡大学教授、和光大学教授を経て、現在著述業
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
14
透徹したヒューマニズムが『極光のかげに』の頃と全く変わらないことに胸を打たれた。2020/07/21
モリータ
10
◆'96年同時代ライブラリー刊、'02年文庫刊。3-5章あたりで『極光のかげに』や『スターリン体験』と同じ収容所のエピソードが繰り返されるのはどうかと思うが、執筆時点(88歳!)に捉え直した部分もあり、何より筆が乱れていないのは良い。◆『日本新聞』刊行の経緯や、徳田球一要請と菅季治の自殺、宮本百合子や中野重治との人間味のある交流、そして宮本顕治ら共産党員の態度など面白く読んだ。中野については、スターリンを尊崇した部分は批判しつつ、作家としての純真な部分は親しみをこめて書いており、筆者の人格を感じさせる。2021/06/23
カネコ
1
◎2010/05/24
くらーく
0
ヨシフ・スターリンがひどい政治家なのは同意。2015/09/26
昼寝
0
『極光のかげに』は、美しさが心に残ったが、この著作には、厳しさが強く感じられた。2022/05/22