出版社内容情報
最愛の夫が他界したあと書き継いだ、亡夫に贈る愛の詩篇。夫婦という極めて私性の強い密室を描き、女性としての息づかいが濃厚にただよう、死後にもつづく永遠の愛。戦後の女性の生き方を読者の知性に訴え続けてきた詩人が、没後にはじめて詳らかにした、純愛に生きるみずからの生(なま)の姿。口絵二丁。(解説=小池昌代)
内容説明
最愛の夫が他界したあと書き継いだ、亡夫に贈る愛の詩篇。夫婦という極めて私性の強い密室を描いて、女性としての息づかいが濃厚にただよう。戦後の女性の生き方を読者の知性に訴え続けてきた詩人が、自らの生の姿をはじめて明かした、没後刊行にして詩人の新生面を拓いた純粋な愛の詩集。
目次
1(五月;その時;夢 ほか)
2(〓しぐれ;夜の庭;モーツアルト ほか)
3(なれる;電報;(存在) ほか)
著者等紹介
茨木のり子[イバラギノリコ]
1926‐2006年。〈現代詩の長女〉とも称される、戦後の日本を代表する現代詩人。1953年、川崎洋と二人で同人詩誌「櫂」を創刊。「わたしが一番きれいだったとき」をはじめとする作品群で戦時下の女性の青春を描く。敗戦を契機にひらかれた幅広い社会意識と健康な批評精神が特徴で、スパッと歯切れのいい言葉が断言的に出てくる、主張のある詩、論理の詩、倫理の詩、あるいは読者を励ます、人を奮い立たせてくれる詩が多い。また訳詩集に『韓国現代詩選』(読売文学賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
113
非常に仲の良いご夫婦だったのでしょう。 死後発表された、亡き夫への愛が詰まった詩集。2025/08/20
新田新一
42
若い頃から茨木のり子さんの詩を繰り返し読んでいて、ずいぶん励まされてきました。世の中に流されずに、自分を保ち続けながら生きることの大切さを教えられました。死後に発表されたこの詩集は、これまでの詩集では知ることのできなかった茨木さんの姿が表現されており、泣きながら読みました。それだけ感動しました。先に亡くなった夫への愛情が詰まった詩ばかりです。「夢」という詩で夢の中で抱きしめ合った夫の事を、「哀しいまでの清らかさ」と表現しています。この上なく美しい挽歌です。こんなに美しく、切ない詩は読んだことがありません。2025/09/01
スプーン
35
濃厚なラブレターの如き、亡き夫への詩集。 恋や愛は肉体を超えたものだとわかる。 愛する者を失った老若男女すべての人たちへ。2025/08/14
ryohjin
18
作者の亡くなったあと発見され、出版された詩集。夫を病で失って後、31年間にわたりつづられたてきた詩篇。作者は生前、夫への「一種のラブレターのようなもの」と語っていたようであり、夫亡き後も、作者の中では確かな存在としてあり続いていたことがうかがわれます。五感を通じて残された記憶から立ち上がった言葉の鮮度に心動かされました。「パンツ一枚でうろうろしたって品のあるひとはいるもので」「らくらくとあなたはそれをやってのけた」ここまで書いてもらえる関係って素晴らしいです。2025/06/20
たっきー
13
2007年に刊行された詩集の文庫化。著者の没後に甥が発見した詩を編んだもの。夫・三浦安信氏は1975年に亡くなり、その後31年間1人で過ごした著者。夫のことが大きな存在であったことがわかる。2025/08/19




