内容説明
陰謀に巻き込まれた元上海工部局警察官・芹沢一郎は社会の底辺をさまよい、追い詰められたその先で、生まれてからただの一度も経験したことのないような恍惚を味わう。やがて芹沢は自分を陥れた陸軍参謀本部付少佐に対決を挑む。彼は何に名誉を見出したのか。二人の日本人の対立と葛藤、そしてその中に浮かび上がる近代日本の運命とは。各誌紙絶賛の超大作。
著者等紹介
松浦寿輝[マツウラヒサキ]
1954年東京生まれ。詩人、小説家、批評家、フランス文学者。東京大学名誉教授。1988年『冬の本』で高見順賞、95年『エッフェル塔試論』で吉田秀和賞、96年『折口信夫論』で三島由紀夫賞、同年『平面論―一八八〇年代西欧』で渋沢・クローデル賞平山郁夫特別賞、2000年『知の庭園』で芸術選奨文部大臣賞(評論等部門)、同年「花腐し」で芥川賞、05年『あやめ 鰈 ひかがみ』で木山捷平文学賞、同年『半島』で読売文学賞、09年『吃水都市』で萩原朔太郎賞、14年『afterward』で鮎川信夫賞、15年『明治の表象空間』で毎日芸術賞特別賞、17年本作で谷崎潤一郎賞およびドゥマゴ文学賞、19年『人外』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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