出版社内容情報
『一九八四年』『動物農場』など政治的な含意が強調されがちなジョージ・オーウェルの作品。だが、著者はその作品群のなかに、童謡や伝統文化、ユーモアの要素を丹念に読み解き、オーウェルがディストピアに込めた「希望」を救い出す。オーウェル研究の第一人者である著者の代表作に関連エッセイを加えた決定版。
内容説明
『一九八四年』『動物農場』など政治的な含意が強調されがちなジョージ・オーウェルの作品群のなかに、イギリスの伝承童謡や伝統文化、ユーモアの要素を丹念に読み解き、ディストピアに埋め込まれた希望のかけらを救い出す。オーウェル研究の第一人者の代表作に、関連エッセイを新たに加えた決定版論集!
目次
第1章 オーウェルのマザー・グース―『一九八四年』のために
第2章 『動物農場』再訪―「イギリスのけものたち」のフォークロア
第3章 郷愁と抵抗―『空気をもとめて』のために
第4章 葉蘭をめぐる冒険―『葉蘭をそよがせよ』についての一考察
第5章 「昨夜、映画へ」―映画評論家としてのオーウェル
第6章 ブリンプ大佐の頭の固さ―オーウェルの著作に見られる‘Blimp’の使用例について
第7章 「一杯のおいしい紅茶」をめぐって
第8章 「オーウェル風」のくらしむき
著者等紹介
川端康雄[カワバタヤスオ]
1955年生まれ。明治大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、日本女子大学文学部教授。イギリス文学、イギリス文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青柳
3
オーウェルの作品中で見逃されがちな要素を各作品ごとに考察し、彼が散りばめた伏線や意味を解説していきます。「1984年」に出てきたマザーグースの歌詞は読んでるうちになんとなくどういう展開に繋がっていくのか分かる気もしましたが、改めて解説されると納得感が出ました。「動物農場」の解説では作中に出てきた動物達の品種や特性にまで言及しており、物語の解像度がより高くなった気が。あと「空気を求めて」を読む前に本作を読んだおかげでラストの解釈やストーリーの核が希望溢れるものだったと分かり、たいへん参考になりました。2025/05/07
ノーネーム
1
ジョージ・オーウェルの小説構成に、マザーグースを主としてアプローチをかける書。自分では考えもしなかった。オーウェルがイギリス人だと意識さえしなかったのだ。 この本では、彼が英国の歌に非常に心を惹かれていたことが分かる。彼が好きなもの、自分が影響を受けたものを小説に落とし込んでいる。その事実が綺麗に紐解かれている。筆者のオーウェル愛が感じられる。良い本であった
わきが
0
実際のマザーグースをふまえて,『1984年』に登場する歌を解説しているのが面白かった.私はイギリスのフォークロアに疎いのもあって『1984年』を近未来の外国で起こった出来事のように感じていた.イギリス国民が『1984年』を読んだら,なじみ深いフォークロアすら支配される恐怖は半端なかっただろうと思う.オーウェルの著作の見方が変わった.2021/12/22
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